このたび、愛知県立芸術大学サテライトギャラリーSA・KURAでは、本学の収蔵作品だけでなく収蔵品でない作品も交えた企画展示「コレクション+ノットコレクション展 夢の中で」を開催いたします。
「こんな夢を見た。」で始まる夏目漱石の『夢十夜』の第一夜では真珠貝で穴を掘り星の破片を標にした墓の傍で男が百年死んだ女を待ちます。この話のように、時間も空間も超えて現実との整合性なく展開する夢は、色彩を伴って脳内で映像として再生されるものの決して手の届かない意思も及ばない儚く不可侵なものであり、芸術家たちの創作にインスピレーションを与えてきました。
本展では、一本の塩ビパイプを原初として細胞が増殖するように毛糸やロープでモデリングして自立する形へと発展させていった内藤光穂の《せいちょう》や、自作の人形やオブジェで愛のゲームの一場面を作り見えないものをも描き出そうとカンヴァスに詳細に写し取った横山奈美の《アナタと私のラブゲーム》や、トラが木の周りをぐるぐると回りながらバターになった童話を金と黒の二色のみで大胆に表現した関口敦仁の《トラバター》など、作品の主題が夢であるかどうかは問わず夢のイメージに通じる作品を展示いたします。作品の全体やその一部の情景、色、形、雰囲気についていつかの夢で見たことがあるのではと思えるような、もしくはそれらが脳裏に焼き付いて今夜の夢で見てしまうのではと思えるような、そんな現実との間にどこか違和感のある作品をご覧にいれます。
主催:愛知県公立大学法人 愛知県立芸術大学