展覧会名の「てのひらのフォーム」は、私自身の制作方法に関わります。私は制作の手を止めずに作り続けること、大量に生み出された作品をもって、出来るだけ多くの展覧会・イベントに参加する事を作家としての目標としています。制作の当初は頭で考えて形や乾燥状態を把握していますが、繰り返す、すなわち反復によって次第に頭で考えずともてのひらの感覚で作品を作れるようになっていきます。
この繰り返し、反復の動き、身振りはさながらスポーツでお馴染みの「フォーム」のようでもあり、それを可能にするてのひらからは新たな「形態(フォーム)」が生み出されます。このように二重に意味をもつ「フォーム」を展覧会名にしました。
陶土という素材は、時間の経過によって作品の乾燥状態が変わり、作品の耐久性の関係で形やサイズに制約が生まれます。この素材の特性から生まれる制約が私の作品に影響を及ぼしています。
陶土と向き合い制作を続ける中で気づいたことや覚えた感覚を、ギャラリー空間に展開する作品たちを通して感じ取っていただけると幸いです。