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令和6年度 全国研修会レポート [テーマ別実践研修]
中学校美術科・高等学校芸術科(美術)[中高美1]:実施担当 秋田公立美術大学

研修概要

日程:令和6年9月30日(月)
講師:大関智子(秋田公立美術大学)
受講者数:5名(定員 20名)

テーマ

日本画の材料と表現技法

研修会の内容

1.オリエンテーション/講義「日本画ってどんなもの?-材料と表現から-」
はじめに講師紹介を行なった後、研修テーマ設定のねらいや趣旨、研修のタイムスケジュールについて説明した。講義では制作の導入として、「日本画」という分野が成立した経緯を振り返るとともに、昨今日本画を取り巻く定義に関する議論、材料の諸相について解説した。また,美術科における題材としての扱われ方とその傾向についても触れた。


2.演習①:支持体づくり(水張り)
日本画で主に用いられる支持体について、作品や実物等の参考資料を示しながらその特性について解説をした。本演習では、木製パネルに雲肌麻紙を張り込む「水張り」の工程を実際に行い、小作品制作で使用する支持体を完成させた。また、水張りの体験を通してその方法と素材の扱いについて理     解を深めた。


3.演習②:小作品制作
⑴ 日本画の技法材料についての理解
日本画制作における特徴的な描法について、教育現場で多用される描画材料に焦点を当て、その組成と支持体に定着する仕組みに着目しながら説明した。またこれを踏まえ、参加者は日本画制作で用いられる、粉絵具や岩絵具等の顔料、メディウムである膠の基本的な扱い方を習得した。

⑵ 制作プロセスについての理解と制作
和紙を張り込んだサムホールサイズの木製パネルを用い、 参加者が持参したスケッチをもとに小作品の制作を行なった。制作では、「下図の転写」「骨描き」「隈取り」のプロセスを順に行い、墨汁で下書きを完成させた。その後、⑴を踏まえ作品の完成へ向けて着彩を行なった。

4.鑑賞/まとめ
制作を通して参加者からは、「日本画の材料を初めて触れたが、自然由来のものが多くとても魅力的に感じた」「学校現場でも工夫次第で教材にできそう」などの感想があった。日本画分野は我が国で古くから描かれてきたにも関わらず、様々な問題点から教育現場において「表現」としての題材化が難しい傾向にある。しかし、教育用岩絵具や顔料とメディウムの代用材料を用いることで日本画の技法理解を深めることが可能であることを伝えた。

 

実施スケジュール

時間 内容 研修形態(方法)
9:00~9:30 受付
9:30〜10:45 開講式・理論研修 参集
11:00~12:00 ・オリエンテーション
・講義「日本画ってなんだろう?―材料と表現から―」
・演習①:支持体づくり
12:00~13:00 休憩
13:00〜16:15 演習②:小作品制作 ※適宜休憩
16:15〜16:30 鑑賞/まとめ
16:40〜17:00 教科調査官による全体講評
17:00〜17:15 アンケート記入、解散