ビーズは身近な装飾材料として親しまれ、現在も衣服や装身具などに広く用いられています。
ビーズによる装飾は古くから世界各地で行われてきましたが、それは単なる装飾にとどまりません。それを身に着けることで、民族、性別や年齢、社会的立場といったアイデンティティーを表したり、また、より多くのビーズや珍しいビーズを所持することで富や権力を象徴することもあります。さらには連なった玉に祈りを込める数珠など、精神世界とつながるための役割を果たすこともあります。
ビーズの素材は、身のまわりにある木や石など入手がたやすいものから、宝石のような自然界の貴重な鉱物、ガラスやプラスチックといった合成素材など、地域や時代によってもさまざまです。また、ビーズの加工技術の工夫や進歩は、多彩な表現を可能なものとしています。
本展では、交易品として珍重されたガラス・ビーズ「トンボ玉」、ヨーロッパのきらびやかなビーズ刺繍のドレス、象徴的な意味を持つアジアやアフリカの各民族の衣服や装身具など、多種多様な約40か国のビーズを紹介します。