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令和2年度 全国オンライン研修会レポート [テーマ別実践研修]
中学校美術・高等学校芸術科美術:実施担当 武蔵野美術大学・講座3

研修概要

日程:令和3年2月22日(月)
講師:冨井大裕(武蔵野美術大学)、三澤一実(武蔵野美術大学)
受講者数:51名(定員 20名)

テーマ

現代彫刻作品における鑑賞の可能性

 

研修会の内容

冨井講師からは、彫刻とは見ることを探る(疑う)技術であるという視点から、現代美術の見方について講義があった。この講義では彫刻がつくり出す空間の理解を深めるとともに、彫刻は現実空間に存在させることで、そこに問いを生み出す行為だとし、ヨーゼフ・ボイスなどの社会彫刻を理解する手立てとした。
そして、その様な「問い」、または「見ることを問う行為」として彫刻の展示を捉えなおし、展示活動の重要性を解説した。

ワークショップでは、身の回りにある印刷物を、印刷された模様から自分なりの線を見つけ、その線に沿ってカッターで切り込みを入れ、任意の一辺を他の一辺と接合させ、平面から立体構造を立ち上げ、偶然性の彫刻とした。
その彫刻を、様々な場所に設置し各自写真を撮影し、出来上がった写真を参加者同士批評し合った。

まとめとして三澤講師が、受講生が行ったワークショップでの彫刻制作の意味を、学習指導要領の〔共通事項〕と関連させ解説し、平面では学べない彫刻ならではの学びと魅力について解説した。

 

冨井講師のスライドより

 

受講者の感想からは、鑑賞活動において彫刻作品を扱うことがあまりなく、平面とは異なる立体作品の捉え方、特に〔共通事項〕の「空間」の捉え方について理解が深まったと伺える。又、現代彫刻の鑑賞では、彫刻が単なる造形作品としての意味だけでなく、社会や身の回りの環境を捉え直す意味や役割があるという理解が深まったようだ。
又、平面を立体に立ち上がらせ彫刻作品とし、写真に撮るワークショップはシンプルな活動ではあるが学びとしては多くの要素が詰まっていることに気付くなど、受講者の今後の授業改善に繋がる学びが多く有ったと伺える。

 

実施スケジュール

時間 内容 研修形態(方法)
13:00〜14:10 現代美術における彫刻の役割を、作家としての視点から解説する 講義
14:20〜15:30 印刷物に手を加え、立体化させることによって3次元の立体作品にしていく。
その後飾る場所を見つけ写真撮影し、自作品を紹介し合う ワークショップ
ワークショップ
15:30〜16:00 現代美術における彫刻の鑑賞を美術の授業で行う際の
学習指導要領での位置づけについて理解する
講義