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令和3年度 全国オンライン研修会レポート [テーマ別実践研修]
小学校図画工作科:実施担当 京都市立芸術大学

研修概要

日程:第1回  令和3年12月9日(木)、第2回  令和4年2月17日(木)
講師:田中 栄子(京都市立芸術大学)、王木 易(京都市立芸術大学)
受講者数:第1回  25名、第2回  11名(定員 各20名)

テーマ

新たな表し方の工夫「木版リトグラフに挑戦しよう」

 

研修会の内容

〇 小学校の図画工作で、「版に表す」という題材を扱う場合、一般的にコラグラフをはじめとして紙版画、木版画などが多いかと思いますが、版画にはこれ以外にリトグラフやシルクスクリーン、銅版画など様々な技法があります。

しかし、学校での様々な環境下で専門的な用具や設備等を準備し、それらの技法を実施するのは実際に難しい現状があります。そこで従来の環境でありながら、リトグラフの原理を取り入れた新たな表現ができる「木版リトグラフ」の技法を紹介いたしました。版で表現する世界を広げるとともに、新しい技法を基にした題材開発の機会となればと考えます。

〇「木版リトグラフ」は、リトグラフの特徴である「直接描写して版を作ること」に加えて、木版画のように彫ることで表現することもできます。リトグラフでは専用のプレス機が必要になりますが、木版画のようにバレンや足踏みの方法で紙に刷りとり作品制作できるのが「木版リトグラフ」の最大の特徴であり、実際の授業にも取り入れやすい題材であると思います。

〇 木版リトグラフの制作方法 ※事前に刷る用の版画紙を湿らせておく。
(1)プライウッド木版に油性ソリッドマーカーで絵を描く
(2)SK液(ガム液)を塗る
(3)SK膜を洗い流す
(4)湿った状態でインクを塗る
(5)水彩絵の具による彩色や彫刻刀で彫ることもできる
(6)版画用紙に刷る

 

 

■受講者からの感想(アンケートより抜粋)

・版画に様々な表現方法があることを講師の先生方から学びました。また、先生方の作品を見たり、お話を聞いたりした気付きを、今後の指導に役立てていきたいと思いました。講師の先生方お二人がとても楽しそうに教えてくださったので、やっぱり図工や美術はいいなと感じることもできました。

・新しい技術の習得ができとても勉強になった。実技研修は材料や設備等整った会場に集って行ったほうが、交流もしやすく良いなとも思ったが、オンラインで身近なものでできる実技は実用性があって日頃の授業に還元しやすいなと両方の利点を感じた。とても楽しかったです。

・オンラインでの研修は、とても有り難かったです。講師側からの準備物は、一つひとつ丁寧に梱包されており、大変だっただろうなと感じました。12月のもう1週間後の開催だったら、成績付けも終わっており、授業のことを気にすることなく参加することができたかなと思います。本日受講した題材は、普通の学校にはほぼないものを使ってのものでした。できれば、どこの図工室にもある、予算もほとんどかからないもので成り立つ題材を学びたいと思いました。

・木版画でリトグラフという初めての経験でした。まず、やはり人間、「初めて」というのは、いいものですね。研修中の制作は思ったようにいかず、摺った紙が真っ黒になってしまい、「うーん」となりました。研修後、版木の裏側で再挑戦。すると、うまく摺れました。ドーサ引きは片面だったんかな?と思ったり、自分のちょっと上達したのかな?と思ったり。しかしながら、子どもも一緒だと思いました。「つくり」「つくりかえ」「またつくる」試行錯誤でいいものを、という感覚は、新たなことにチャレンジする中で芽生えるものなのだとも思いました。

・初めて参加させて頂きました。県外で学ぶことがほぼないので、視野が広がりました。社会的変化を乗り越えるための力をつけていく芸術教育の大切さを改めて感じました。

・新しい技法を学べてとても楽しかった。また、オンラインでの授業のやり方のお手本を見せていただきとても勉強になった。(画材配布、プリント、講義、オンラインでのやりとり等)

・リトグラフの講座を受講しました。今回オンラインでやるにあたって、参加者1人1人に材料を振り分け発送するなど、何から何まで準備ありがとうございました。自分はリトグラフをやったことがなかったので、とても良い勉強になりました。オンラインという中で、他の受講者が写っていないと、進度が気になったり聞き逃したり不安なことが多くありました。雰囲気は悪くなかったのですが、自分の性格上オンラインだと質問をすることのハードルが上がり、わからないときに焦りました。手順の紙があって助かりました。自分では多くインクをつけたつもりでも、ひとりだと加減がわからず、なかなか納得できる作品になりませんでした。難しかったです。新しい手法が学べ、とても良い勉強になりました。またこのような機会があれば、参加したいです。

 

 

実施スケジュール

時間 内容 研修形態(方法)
13:00〜13:10 研修前の操作確認・オリエンテーション リアルタイム
13:10〜14:30 版画の世界
-版画作品の鑑賞を通して技法の特徴を知る-
講義
14:30〜14:40 休憩
14:40〜15:30 各自で自由に版づくりを行う 実技
15:30〜16:00 作品発表 講評会 グループワーク
16:00〜16:10 休憩
16:10〜16:30 全体講評