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令和4年度 全国研修会レポート [テーマ別実践研修]
小学校音楽 [小音1]:実施担当 東京藝術大学

研修概要

日程:令和4年12月15日(木)
講師:杉山陽介(東京藝術大学)、市川 恵(東京藝術大学)
受講者数:26名、オンライン55名(定員  20名、オンライン40名)

テーマ

ICTを活用した音楽科授業:
「音づくり」と「鑑賞」を中心に

 

研修会の内容

本研修では、講師の実践提案によるICTを活用した「音楽づくり」及び「鑑賞」の指導法を受講生一人一人が経験し、それを授業にどのように生かしていくかについて学ぶことを目的に実施された。下記の4つの内容を軸に、受講生がmacOS/iOS用の音楽制作ソフトウェア「GarageBand」を実際に操作し、創作・発表などの実習を通じて、ICTを活用した授業に関する知見を深めた。

(1)ICTを活用した音楽づくり① 個人制作
(2)ICTを活用した音楽づくり② グループワーク
(3)ICTを活用した鑑賞活動の提案
(4)ICTを活用した実践事例紹介と、今後の展望と課題

 

 オリエンテーション

まず、市川恵特任准教授が事前に受講者向けに行った「音楽科におけるICT活用の現状と課題」に関するアンケート結果を元にレクチャーを行った。アンケート回答から音楽科におけるICTの活用状況、音楽科教員及び生徒のICT使用状況や課題点等が明らかになり、受講者が他の受講者(学校)の状況を知る機会となった。

コロナ以降、生徒に端末が割り振られるなど教育現場でのICT活用が進む一方で、音楽科の授業でのICT使用頻度や活用方法についてはまちまちで過渡期にある現状が伺えた。

 

● ICTを活用した音楽づくり① 個人制作

ここより杉山陽介特任助教による講義に移り、macOS/iOS用の音楽制作ソフトウェアGarageBandの実習となった。事前アンケートより、受講者のうちGarageBand経験者が6割、未経験者が4割だったこともあり、初心者にもわかるように楽器の選び方、音の打ち込み方など操作一つ一つの丁寧な説明がなされた。対面受講者とオンライン受講者のため、操作の異なるiPadとMacBook両方での操作が示されつつ進行した(対面受講者には一人一台iPadを貸出)

実際にきらきら星のメロディーを入力し、楽器を変えて伴奏をつける創作を行い、次に①提示された写真にあった曲をつける、②学校のサウンドロゴをつくる、という2つの課題から一つを選択し、自由に作品の創作を行った。その後、仕上がった作品を挙手により対面受講者3名、オンライン受講者4名が発表し、それに対して杉山特任助教より講評があった

続いて、音楽科授業における生徒への声がけの方法や作品の評価方法など、実際の指導に即した授業改善の提案が行われた。例えば生徒の創作に対する評価のポイントについて、上行・下行を織り交ぜてメロディに動きをつけていること、跳躍を入れていること、和音に含まれない音も使用していることなどの工夫した点を見い出して評価することが重要であるということ。さらに、完成に至るまでの過程でより良くなった点や、課題以上に取り組んだ点を評価する、という指導提案があり、杉山特任助教よりあくまで創作において正解というのがないことが強調された。

 

● ICTを活用した音楽づくり② グループワーク

次のステップに移り、GarageBandを使ったグループワークを行った。ラ・バンバ(メキシコ民謡)を課題曲に、打ち込まれたベースリフに対して自由に一人一人が音を加えていき、発表の際に全員の音を重ねるという内容であった。譜面を見ながらの打ち込みではなく、ベースの音を流しながら一発録音していったため、ライブ感があり最終的にどのような曲になったのか期待感を持って聴くという授業の生徒側の体験をすることができた。グループワークは主に対面受講者が取り組み、オンライン受講者は個人で課題曲に音を加える、または見学という形で、対面とオンラインの受講生が別の方法で課題に取り組んだ

 

● ICTを活用した鑑賞活動の提案

GarageBandを使用した鑑賞方法として、ジュピターを例に挙げて説明がなされた。ジュピターのスコアが打ち込まれた画面を見て、例えば①メロディの音型を見て曲を当てる、②木管楽器のみを鳴らして曲を当てる、というクイズ形式で生徒に積極的に参加させることで、聴き取りの姿勢を養う方法。またパートごとに「消音(ミュート)」する機能を使い、弦楽器の種類をヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスと徐々に加えて音の響きの変化を聴く方法などGarageBandならではの方法で提案がなされた。

 

● ICTを活用した実践事例紹介と、今後の展望と課題

音楽科の授業でICTを活用することで、今後学びが特定のことにとどまらず、創作→鑑賞→演奏→歌唱と興味関心が連鎖し、新たな価値を創造することにつながるという説明があった。

 

● 質疑応答(事前のアンケートを元に回答)

・児童が横道に逸れる場合がある
・特別支援教育の重度重複の児童生徒への活用方法について

 

 

実施スケジュール

時間 内容 研修形態(方法)
9:30~11:45 開講式、全体研修、理論研修(教科別:文化庁による進行) オンライン
13:00~13:15 オリエンテーション、(事前アンケートを元に)
音楽科のICT活用の現状と課題
参集及びオンライン
13:15~14:50 ICTを活用した音楽づくり①:個人創作
・GarageBandの操作・例題の打ち込み、及び創作と発表
・授業への活用について(生徒へのアドバイス・指導のポイント)
参集及びオンライン
14:50~15:05 休憩 参集及びオンライン
15:05~15:40 ICTを活用した音楽づくり②:グループワーク
・GarageBandを使いグループで創作と発表
・授業への活用について
参集及びオンライン
15:40~15:50 ICTを活用した鑑賞活動の提案 参集及びオンライン
15:50~15:55 ICTを活用した実践事例紹介と、今後の展望と課題 参集及びオンライン
15:55~16:00 事前アンケートを元にした質疑応答 参集及びオンライン
16:20~16:40 全体講評(教科別:文化庁による進行) オンライン