日程:令和4年12月15日(木)
講師:谷内春子(京都市立芸術大学)、飯田真人(京都市立芸術大学)
受講者数:15名(定員30名)
日本画鑑賞の授業づくり:
材料や技法から思考する鑑賞活動
1. 講義①:「鑑賞活動の現状と課題について」
美術の授業では、子どもたちの感性を働かせて、それぞれの思いを形や色などに表していくためには、〔共通事項〕と鑑賞活動がポイントになるため、学習指導要領の鑑賞活動と〔共通事項〕を確認することが大切です。
鑑賞活動は、近年充実した実践例が報告されるようになりました。その一方で、問題点になりやすい授業もあります。例として「それぞれが感想を話すだけの授業、美術史に偏りがちな授業、本物に触れる機会が少なく、図版のみで鑑賞する授業」などがあります。
本講座では、図版で鑑賞する場合の課題に焦点を当て、特に良さが伝わりづらい日本画と言われている作品を取り上げ、「材料や技法の実感的な理解が表現の工夫への理解につながるのではないか」ということをテーマに実施しました。
2. 講義②:「日本画表現に触れる〜作品・材料・技法」
日本画と言われている作品とはどういったものかを材料や技法、表現の変遷から説明していきました。また、素材や技法から作品を鑑賞することについて説明しました。
●「日本絵画から日本画へ:材料・技法の変遷と表現」
・日本絵画の始まりと展開 白鳳時代から江戸時代の作品を通して
・明治以降「日本画」の誕生
・日本絵画(江戸時代まで)「東洋絵画の文脈ー施政者からの要求と民衆の絵画、
天然由来の絵具を駆使し色を作っていた(岩、朱、丹、染料、墨、胡粉を混色・重色、焼く…)」
・日本画(明治以降)「西洋画に対しての「日本画」ー個人の表現へ。
画材の進化(人工的な岩絵具)、画題の多様化」」
● 素材や技法から作品を鑑賞するということ「身体的(体感的)な鑑賞法」「素材/技法の背景」
3. グループワーク「鑑賞の授業づくり」
グループワークでは、事前に用意した、日本絵画や日本画の材料や技法の特徴を表した300個の「ピース」を用いました。それぞれのピースは、異なる材料(水墨、金箔、銀箔、岩絵具、水簸、胡粉など)で彩色するとともに、筆遣いも様々な技法を用いています。参加者はウェブや教科書などから作品を選択し、それに関連付けたピースを用いて、鑑賞の授業のスライド教材を作成しました。
実際に手に取って、直接材料に触れながらその特徴を感じ取ること、その感覚を図版で示された作品につなげることが大切になります。参加者はそれぞれ、材料や技法の特色をもとに6から8ピースを選択し、それをもとに授業のスライド教材を作成しました。その際には、講師の谷内の他、本学の日本画専攻在籍の学生が助言を行いました。最後に、4名程度のグループに別れ、各々が作成した教材を発表し、意見交換を行いました。
時間 | 内容 | 研修形態(方法) |
9:30〜11:45 | 開講式、全体研修、理論研修(教科別:文化庁による進行) | オンライン |
13:00〜13:10 | オリエンテーション | 参集 |
13:10〜13:40 | 「鑑賞活動の現状と課題について」(担当:飯田) | 参集 |
13:40〜14:20 | 「日本画表現に触れる〜作品・材料・技法」(担当:谷内) | 参集 |
14:20〜14:30 | 休憩 | 参集 |
14:30〜15:30 | 「鑑賞の授業づくり」(担当:飯田、谷内) | 参集 |
15:30〜16:00 | 発表・交流 まとめ | 参集 |
16:20~16:40 | 全体講評(教科別:文化庁による進行) | オンライン |