日程:令和4年12月15日(木)
講師:尾澤 勇(秋田公立美術大学)
受講者数:12名(定員15名)
錫による、技法・表現の可能性:
鍛金皿の制作を通して
本講座では、鍛金技法による錫の器の制作を行った。錫は変形加工がしやすく、鍛金に必要な専門道具が無くてもプラスチックや木の当て具などの道具を工夫することで制作できるため、比較的教材として扱いやすい素材である。本研修では錫や鍛金技法の特徴や魅力について体験的に理解するとともに、工芸教材としての可能性を探った。
講義始めのオリエンテーションでは、研修の目的や内容等の概要についてスライドを基に説明した。また金属の特性、金工の技法の基礎知識、錫の特性と錫を用いた鋳金・鍛金の作例について、写真や動画を取り入れながら説明した。
制作については①アイデアスケッチ②下描き、地金取り、カッティングシート切り抜き③成形とカッティングシート紋様打ち込み④銅と真鍮のメッシュの紋様打ち込み象嵌、鏨による加飾、端面の研磨及び仕上げの4つの工程に分けて行った。それぞれの工程ごとに講師がレクチャーをし、レクチャーの内容を受けて受講者が制作する、という流れで行った。
レクチャーは講師が制作の実演を交えて行ったり事前に準備した参考作品を提示したりしながら行った。実演の様子や参考作品の細部を撮影する際はタブレット端末を活用し、近距離からも撮影を行えるよう工夫した。それにより遠隔であっても素材の質感の微妙な変化や凹凸などについて、より鮮明に受講者に見せることができた。
制作中の受講者の質問にはチャットで内容を受け付け、順番にひとつずつ回答することで対応した。必要に応じて実演を交えて対応し、より解決の具体的なイメージを持ちながら制作を進められるよう支援した。
鑑賞時は、受講者が一人ずつ制作した作品を発表し、また教材としてどのように錫や鍛金の技法を取り入れることができるか、制作を行って発見したことや感じたことなどについて発表した。
研修には中学校や高校を始め、聴覚支援学校や盲学校等の支援学校で勤務する教員が参加した。それぞれの視点や観点で教材としてのアイデアや授業時に工夫したい点、また改善したい点等について述べ合うことができた。
時間 | 内容 | 研修形態(方法) |
9:30〜11:45 | 開講式、全体研修、理論研修(教科別:文化庁による進行) | オンライン |
13:00~13:45 | オリエンテーション | オンライン |
13:45~14:00 | 制作①(アイデアスケッチ) | オンライン |
14:00~14:10 | 下描き、地金取りについての説明 | オンライン |
14:10~14:30 | 制作②(下描き、地金取り、カッティングシート切り抜き) | オンライン |
14:30~14:40 | 休憩 | オンライン |
14:40~14:50 | 成形についての説明 | オンライン |
14:50~15:20 | 制作③(成形 カッティングシート模様打ち込み) | オンライン |
15:20~15:30 | 鏨による加飾、銅・真鍮メッシュの打ち込み象嵌、板金の端面の研磨についての説明 | オンライン |
15:30~15:40 | 制作④仕上げ(鏨による加飾、銅・真鍮メッシュの打ち込み象嵌、端面研磨) | オンライン |
15:40~16:00 | 鑑賞 | オンライン |
16:20~16:40 | 全体講評(教科別:文化庁による進行) | オンライン |