日程:令和5年2月13日(月)
講師:大森 啓(金沢美術工芸大学)、桑村佐和子(金沢美術工芸大学)
受講者数:5名(定員20名)
平面なのに立体?
パズルで考える
1. 講義①:「『絵』の不思議な世界」
演習「立体感の表現を利用した『平面の立体パズル』の制作」への導入として、先史時代から現代まで、絵画が常に示してきた「そこに無いものを存在させる不思議さや、それを見る喜び」の諸相を振り返った。
今回の演習が「イリュージョン」という絵画の根源的な特性に関わるものであることと、教える側が常に「驚き」「感動」「喜び」を持つことの大切さを伝えた。
「立方体の積み木8個を組み合わせた立体パズル(2×2×2)を想定する。個々の立方体を等角投影図法でケント紙に描きバラバラに切り離すことで、平面でありながらあたかも実際の立方体を様々に組み合わせるようなパズル遊びが可能になる」
スライドを用いてアイデアスケッチ・試し描きから本制作までの流れ、色鉛筆で彩色する際の注意点、立体感を出すためのコツなどをレクチャーした。また完成後には、実際の授業で取り組む場合にどのような展開の可能性があるかを考えてほしいと伝え、制作に入った。
3. 演習: パズル制作
参加者はそれぞれ直ぐに制作に取り掛かった。作業の冒頭は一人で考える部分が多いため静かになりがちだが、参加者の積極的な質問や発言のおかげで、和やかな雰囲気で作業が進んだ。
前回同様、色彩に対するこだわりやたくさん作ることへの挑戦など、参加者それぞれの個性が反映された仕上がりとなった。
4. 鑑賞・発表
今回も、各自の机の上に作品を配置し順番に自作について説明をしてもらった。各参加者からは、自身の勤務先での生徒を思い浮かべた具体的な授業展開が述べられた。
さらに個々の発表が終わった後、参加者の一人から「全員の作品を組み合わせてみよう」との提案があり、全員の「積み木」を順番につなげていった。机いっぱいに広がった積み木の構造体には一人の作品では味わえない立体感やスケール感、そして共同の喜びが溢れ、この課題の新たな可能性に気付かされた。
ここで事前に参考作品を作ってくれた学生の作例も披露された。立方体に「ケーキの一部分」という具体的な意味を付与(描写)することで組み立てる喜びが増す事例や、積み木を建築ユニットと捉えてゲーム感覚で建築を行う事例などが紹介され、参加者の興味を惹いていた。
5. 全体の振り返り
参加者からの感想「改めて絵画表現の不思議さや面白さを思い出せた」「今回の課題を自分の授業でも試してみたい」等は先の鑑賞・発表の中で述べられた。
ここでは講師から、参加者が終始驚きや喜びを持って主体的に取り組んでくれたことに対する感謝と、今後の授業においてもその感覚(驚きや喜び)を生徒たちに伝えていってほしい旨を述べて終了した。
時間 | 内容 | 研修形態(方法) |
9:30〜11:45 | 開講式、全体研修、理論研修(教科別:文化庁による進行) | オンライン |
13:00〜13:30 | 講義①:「『絵』の不思議な世界」 | 参集 |
13:30〜14:00 | 講義②:「平面の立体パズル」の説明 | 参集 |
14:00〜15:30 | 演習:パズル制作 | 参集 |
15:30〜15:55 | 鑑賞・発表 | 参集 |
15:55〜16:00 | 全体の振り返り | 参集 |
16:20~16:40 | 全体講評(教科別:文化庁による進行) | オンライン |