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令和5年度 全国研修会レポート [テーマ別実践研修]
中学校美術科・高等学校芸術科 (工芸) [中美高工1]:実施担当 東京藝術大学

研修概要

日程:令和5年12月14日(木)
講師:三枝一将・渡邊五大・梶浦聖子・見目未果・三枝水幸(東京藝術大学)
受講者数:25名(定員25名)

テーマ

体感する鋳金
─ 錫の鋳造ワークショップ ─

 

研修会の内容

本研修は融点が低く安全に作業しやすい錫合金を用いた鋳造ワークショップを2種類体験し、その方法とともに、金属や鋳型素材の特性である硬さや、重さ、温度、質感などを体感的に感じとり、教育現場へと還元されることをねらいとして実施した。

 

金属材料と鋳金に関するレクチャー

導入のレクチャーでは、貨幣など身の回りにある金属を例として、元素記号、融点、密度等の化学的な特性を簡単に解説し、今回扱う錫合金の特性と、鋳金で作られている製品や作品を紹介した。

工房見学

鋳金研究室の工房に移動して、作品制作で稼働中の土間や作業室にて、鋳型や着色見本の他、様々なサンプルを見学して鋳金の工程や素材についての理解を促した。

錫の鋳造ワークショップ

今回のワークショップでは、ボール紙とイカの甲殻を鋳型とする2種類の鋳造ワークショップを実施した。錫合金は低融点で鋳造できるためボール紙でも鋳型となる。各自がその場でスケッチした形状を糸鋸で切り抜いて鋳型を作り、模様などはボールペンで陰刻することで写し出す。金工用の糸鋸を使うことで細かい形状を切り抜くことができる。金属の流し込みも自分で行うことで、熱さの感覚や危険への意識も同時に感じてもらった。イカの甲殻による鋳型では、甲殻が鋳型になることへの驚きとともに、甲殻を削る独特の感覚を楽しみながら取り組んでいた。最後に、出来上がった作品を並べて全員で鑑賞した。短時間のワークショップであった各々の個性が発揮され、金属や鋳型素材の特性が面白い効果となった作品が多く見られた。錫の鋳造ワークショップの利点は、鋳造を失敗してもすぐにリトライできることにもある。その場で原因を考え、工夫・調整して再び取り組む先生達の姿が印象的であった。

 

実施スケジュール

時間 内容 研修形態(方法)
9:00〜9:30 受付 対面
9:30〜10:45 講式・理論研修 対面
10:45〜11:00 休憩・会場移動 参集
11:00〜12:00 金属材料と鋳金に関するレクチャー、工房見学 参集
12:00〜13:00 昼食
13:00〜16:20 錫の鋳造ワークショップ 参集
16:30〜16:40 片づけ 参集
16:40〜17:00 全体講評(文化庁教科調査官) 参集