日程:令和6年2月13日(火)
講師:磯﨑えり奈(常葉大学)
受講者数:2名(定員 20名)
身の回りの形から発想するデザイン(オリジナルスプーンをつくる)
― ○○がスプーンになったら ―
真鍮でスプーンを制作するという授業を行った。今回の授業では、何かしらものをつくり出す時、どのようなプロセスを経てアイデアを出していくのかという発想の転換を重要視し、生徒の多様な個性や良さが伸ばせるように工夫し制作を行うことについて考える内容とした。
また、使い勝手が良いという観点だけではなく、使い方は限定されるかもしれないが日常に楽しさと、作品に対する愛着が生まれるようなものづくりについて考える機会となるよう研修を行った。
1.全体の説明とリサーチ
スプーンというと誰もが口をつける部分は丸みを帯び、手で持ちやすいように柄が付いているという形を思い浮かべるだろう。スプーンとインターネットで検索しても、従来のスプーンの形状から離れたものが出てくることはあまりない。少し変わったものでも、スプーンの柄に何かが付いたものや、もともとスプーンの形状に近いものをモチーフにしたものが多いだろう。
今回のテーマは「〇〇がスプーンになったら」であるとし、例えば「ズボンがスプーンになったら」とか、「レモンがスプーンになったら」「ピーマンがスプーンになったら」など、身近なものや興味のあるものから発想し、「スプーンが〇〇になった」のではなく「〇〇がスプーンになった」という遊び心のある題材であることを説明した。例えばスプーンの形に寄せるのではなく、想定したモチーフがスボンであれば、ズボンがスプーンに擬態しているようなイメージで発想するよう促した。
2.エスキース
身近にあるものや、好きなこと、好きな食べ物などからアイデアを出し、エスキースを行った。掴む、食べるというスプーンの機能を、形の中のどこに落とし込むかイメージを固めていく。たくさんアイデアを出していく。
3.道具の説明
机の上に使う道具を並べておき、どのような道具があるのか、また、電動工具や機械の種類や使い方など、工房を案内しながら説明を行った。
まず、アクリル絵具での絵画表現による個性を認め合う学習活動(授業)の考えとその指導方法等について、学習活動事例と指導案により具体的に解説
4. 制作
エスキースからどれを作るか選び、真鍮の板に写す。準備が整ったらバンドソーで大まかな形を切り出す。大まかな形を切り終えたら金工用の糸鋸を使い細かな部分を切っていく。その後、金ヤスリなどで削り形を整える。
次に真鍮の板を焼鈍する。火にかけ金属を柔らかくすることを「なます」という。金属は一度金鎚で叩いたりすると硬くなる。硬くなった金属を無理にそのまま叩いたり曲げたりを繰り返すと金属疲労がおこり折れたりひびが入ってしまうため、金鎚で叩いた後にさらに成形をしたい場合はもう一度なます。成形と焼鈍を繰り返すことで様々な形状を生み出すことができる。
今回は銀ロウを使い金属と金属を溶接することも行った。
表面の質感を変えたい場合には、模様を荒鎚という鎚の部分に模様を施しているものを使い叩いて模様をつけた。
次にスプーンの形に成形していく。木の臼(左下)や金鎚と当金(中)、ヤニと鏨(右下)を使い凹凸を出すことができる。
5.鑑賞と振り返り
作品を机の上に置き、自分の作ったスプーンの題名を決めた。左の作品は「だしすぎ!」、右の作品は「およげ目玉焼き」であった。一人ずつ発表し、感想や気がついたこと、学んだことについて振り返りながら意見交換を行った。
発表の中で、教えることはあるが教わる機会はあまりなく、生徒になった気分で様々なことに気がつくことができたということや、アイデアを生み出すことついても新たな思考のプロセスを学べたとの感想が出た。
時間 | 内容 | 研修形態(方法) |
9:00〜9:30 | 受付 | |
9:30〜10:45 | 開講式・理論研修 | 参集/動画視聴 |
11:00〜11:30 | 全体説明 リサーチ | 全体説明 |
11:30〜12:00 | エスキース | 各自作業 |
12:00〜13:00 | 昼食 | |
13:00〜12:20 | 道具の説明 | 全体説明 |
13:20〜16:20 | 制作 | 各自作業 |
16:20〜17:00 | 鑑賞・振り返り | グループワーク・全体 |