クリストファー・ノーラン監督の映画『オッペンハイマー』が2023年(日本では2024年)に公開されて、今「原爆の父」と称されたJ・ロバート・オッペンハイマーの生涯に再び関心が寄せられています。原爆開発の中枢を担いながら、投下後にはその責任の大きさに押しつぶされそうになり、冷戦が激化する中でマッカーシズムの標的となった科学者として描かれることが多いですが、彼にはもう一つの「顔」があります。核の国際管理の提唱者としての「顔」です。「原爆の父」が水爆開発には反対した背景とあわせて、科学と政治の接点を生きたオッペンハイマーの生涯について考えてみたいと思います。