日程:令和6年12月12日(木)
講師:福田笑子・鈴木淳子(女子美術大学)
受講者数:9名(定員 10名)
線による造形 -編組法を用いたタペストリー制作と評価の実際-
〇研修テーマと趣旨
はじめに、研修テーマ「線による造形―編組法を用いたタペストリー制作と評価の実際」設定のねらいと趣旨について説明した。
昨年度、「線の構成による立体表現―バスケタリーの編組法を用いて」をテーマに、「結ぶ」「巻く」「組む」「編む」の手法を用いて多様な形態を造形する研修を実施している。
今年度は、評価の実際として、制作過程での工夫や技能等を読み取るため評価方法(ワークシート)の提示、自然素材を活用した制作体験、題材への展開・応用に重点を置いた内容である。
研修日は、芸術学部美術教育専攻2年生の実技授業「バスケタリー」の授業期間であったことから、バスケタリーの学生作品、授業内で評価方法として活用している「制作振り返りシート」を研修会場にパネル展示し、受講者に「知識・技能」等の評価のポイントを確認していただいた。
また、学生の制作の様子を授業参観していただき、交流の時間を設けた。
〇講義「バスケタリー」
講義では、バスケタリーの定義、使用素材や日本各地の「民具」にみられる造形の特徴、国内外の作家による現代美術作品の紹介があり、バスケタリーは既存のかご作り、工芸の概念を超えて、新たな作家・作品によってその定義がつくり替えられていることが示された。
〇課題説明、プランニング
今回準備した自然材料は、籐、山ぶどうの皮、あけびづる、ラフィアなどである。実技を始めるにあたって、それぞれの特徴や扱い方、使用前の下準備、使用する道具類について説明した。受講者は、素材を手に取って強度や質感を確認し、どのような作品ができるのか、素材の特徴や風合いを生かした造形を意識しながらプランニングをした。
山ぶどうの皮などの自然素材は、使用する約1時間前から水に浸すことによって柔軟性が増し、曲げ易くなることから、使用する素材を各自で選び、バットに溜めた水に浸して下準備を行った。
〇実技「編組法を用いたタペストリー」
バスケタリーの定式として6種類の基本の編み方があり、プリント資料を配布したが、敢えて一つ一つのやり方についての詳しい解説や演示はせずに、受講者の多様な表現を引き出すことを意図し最小限の説明とした。実際に素材を選び、手を動かしていく中で、様々な方法を組み合わせたり、試したりしながら自由に創造し、イメージをもちながら造形する楽しさを体験していただくことを目指した。
〇作品発表
制作後、全員の作品をパネル展示し、受講者に制作の意図や制作を通した気付き、題材化のアイデア等を発表していただき共有した。
受講者からは、「新たに題材に取り入れたい」「素材に向き合って、『どうしようか、何をしよう』という子どもの気持ちを味わうことが出来た」「素材特有の扱い易さがあった」等の感想があった。
時間 | 内容 | 研修形態(方法) |
9:20~9:30 | 受付 | |
9:30〜10:45 | 開講式、全体研修、理論研修 | 参集/動画視聴 |
11:00~12:00 | 「研修テーマと趣旨」講義 「バスケタリー」編組法の紹介、課題説明、プランニング |
参集 |
13:00~14:00 | 実技「編組法を用いたタペストリー」 | 各自作業 |
14:00~14:20 | 鑑賞 | 参集 |
14:30~16:00 | 実技「編組法を用いたタペストリー」 | 各自作業 |
16:00~17:00 | 発表、まとめ | 参集 |