日程:令和6年12月13日(金)
講師:山本浩二・磯﨑えり奈(常葉大学)
受講者数:6名(定員 12名)
つかみはOK!
手と素材が導く意外な造形 自分だけのフックや取っ手をつくっちゃおう!
フックや取っ手はインテリアやプロダクトにおいて人の生活に関わる小物であり脇役と見られがちである。
しかしその脇役は、全体の雰囲気やデザインに大きな影響を与える存在でもある。脇役であるフックや取っ手に注目し、素材に触れながら面白い形や、ユニークなアイデアを考え発想を広げるような機会となるよう研修を行った。
1.内容と2つの課題について
フックや取っ手を、真鍮や銅などの金属を用いて制作する。金属の持つ特性を活かして、棒材や板材を曲げたり叩いたりといった加工をすることで制作を行う。
フックや取っ手は、家具や道具になくてはならないが、多くは小さな部品である。しかしそのデザインは製品全体の雰囲気に大きな影響を与える存在でもある。
例えば、カップや鍋における器としての形状は回転体となる場合が多く、似たような印象になりがちだが取っ手で変化をつけることができる。
掴むための取っ手があること、そのための穴が空いていること、何かを引っかけるフックがあることなど、形状や用途などからアイデアが広がるであろう。素材に触れ、手でつくりながらアイデアを出し、制作を進める。
今回の課題は2種類ある。1つは、ケント紙から形の展開を考え、銅か真鍮の板材で制作するものである。
もう1つは、銅か真鍮の棒材を使い、火で焼鈍し金槌で叩き、素材に触れながら考え制作をするというものである。受講者はどちらか一つを選択し制作を行う。
2.制作
2-1課題1 銅板からの展開
(1) 紙からの発想と展開
レーザーカッターで切り抜いた幾何学的な形を準備しておき、折ったり組み合わせたりしながら形を検討していく。検討を何度か繰り返しながら取っ手やフックになりそうな良い形を探る。
(2) 道具と制作
形が決まったら銅板に写し取り、糸鋸やバンドソーなどを使い切り出す。
タガネや金槌などを使いながら折り曲げたりして成形する。
2-2課題2 棒材からの展開
(1) 素材に触れながら考える
銅や真鍮の棒材を使い制作する。棒材は5mmから8mmを用意した。最初に事前に並べておいた試作を見せながら、形のイメージを膨らませ、材料を選んだ。材料を選んだら必要な長さに切断した。
切断後は棒材を焼鈍した。焼鈍すると金属は柔らかくなる。金槌で叩いたり曲げたりすると硬くなるという金属の特性を説明し、各自で金属を叩きながら考え形を作り出す。叩く、曲げる、ひねるなど、工夫しながら面白い形を検討し、取っ手やフックを制作する。使用した道具は金槌、アンビル、ペンチなどである。物や壁に設置できるように、最後にドリルで穴を開けた。
3 鑑賞と振り返り
作品を設置し、鑑賞と振り返りを行った。2種類の課題を通してどんなことを考えたのか、どんな作品を制作したのか、1人ずつ意見や感想を発表した。また、中学校や高校でどのように今回のようなプロセスの制作を活かすことができるか、工芸のあり方などについても触れながらデスカッションを行った。
時間 | 内容 | 研修形態(方法) |
9:00〜9:30 | 受付 | |
9:30〜10:45 | 開講式・理論研修(教科・科目別:教科調査官) | 参集/動画視聴 |
10:45~11:00 | 休憩 | |
11:00~12:00 | テーマ別実践研修(午前の部)概要、目的、制作工程などの説明 | 全体説明 |
12:00〜13:00 | 昼食 | |
13:00〜16:20 | テーマ別実践研修(午後の部)道具の説明、制作 | 参集・各自作業 |
16:20~16:40 | 鑑賞・全体講評・振り返り | グループワーク・全体 |
〜17:00 | アンケート提出後、研修終了 |