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令和3年度 全国オンライン研修会レポート [テーマ別実践研修]
中学校美術科・高等学校芸術科美術:実施担当 武蔵野美術大学

研修概要

日程:第1回  令和3年12月9日(木)、第2回  令和4年2月17日(木)
講師:三澤 一実(武蔵野美術大学)
受講者数:第1回  45名、第2回  45名(定員 各30名)

テーマ

「知識及び技能」の実感を伴う習得を実現させ、
表現と鑑賞をより豊かに深化させる造形活動の工夫

 

研修会の内容

1.始めに自己紹介を兼ねて、中学校教諭時代に行った、今回の「造形実験」につながる授業実践を紹介した。
続いて学習指導要領や国立教育政策研究所の教科に関する調査を示し、美術科で取り組むべき課題を明確にさせた。

 

2.次ぎに、学習指導要領を根拠に造形的な視点について学ぶ造形的な実験の必要性についてについて説明した。

 

3.造形実験の理論的背景について理解した後、中学校での実践事例紹介し造形実験の内容と意義、成果について理解を深めた。

 

4. 休憩を挟んで、ワークショップに取り組んだ。参加者が身の回りのものを使って「緊張感」を表す実験をし、そこで生まれた造形物を写真に撮影し、zoomの画面共有機能を使ってグループで紹介し合った。

 

5. 講座のまとめとして、造形的な視点を獲得することにより、デジタル的思考への対応や、美術教育から発信するSTEAM教育の可能性について触れ、これからの時代における美術で身に付ける知識についてまとめた。

6. 最後に、全体を通しての質問を受け、それに答えて終了した。

 

 

■受講者からの感想(アンケートより抜粋)

〇第1回

・造形実験に関する事例や演習を行う中で、生徒に育てたい資質能力や、美術を通して考える力を育てることの大切さを実感しました。併せて、小学校から中学校~といった接続を考えカリキュラムマネジメントしていくことの必要性を感じました。

・造形的な視点を意識した実践を体験できたことで、単純に作品づくりをする授業を変えていきたいと思わされた。

・造形実験の提案について、新しい時代に求められることや美術で育成を目指す資質・能力について理解が深まりました。事例が豊富でわかりやすかったです。造形的な見方・考え方に基づいて自分の造形について発表させる際や途中の試行錯誤において、教師による声かけ方でいかに造形的な視点で言語化させていくかが重要だと思いました。

・「緊張」を表し、他者と共有することで、「緊張」に対する共通の要素が見えてくるような気がしました。普段言葉の意味は、辞書をひいてわかった気になっていることがほとんどですが、実体験を通すと、わかっていないことが理解できると思いました。美術の担当者として、この言葉での共有と言葉にできない部分の表現とを、生徒たちが素直にあらわせるような授業のスキルを今後も勉強していきたいと思います。貴重な研修でした。ありがとうございました。

・作品を完成させることが目的なのではなく、その過程での学びを重視するということが大事だということを改めて感じました。共感は、ただビジュアルを見せるだけではなく、言語化して伝える必要があり、これが個人と社会が繋がるということだ」ということが印象に残りました。これにより、表現したことと言語活動の関わり、対話的学びとはどういうことかについて一つ自分の中に答えを持てたように思います。

 

〇第2回

・「造形実験」の実践がとても心に残りました。生徒の主体的な学びと生徒自身が自分で自分なりの価値や答えを生み出していく姿がとても印象的でした。来年度、ぜひ、やってみたいと思いました。

・個人内感覚を客観化して、なおかつまた個人の主観に基づく思考へ戻るといったことが、ブレイクアウトでの対話で実際に感じることができた。対話的で深い学びから得られるのだと実感できた。

・美術の中で表現を「なんとなく」完成していた子供は、大人になっても身体感覚を言語化することや、自分自身での価値形成ができないままかもしれない。(美術の授業の中で経験を積ませることが大事)造形実験を授業で行う中で、言語化していくことの課題があったが、自分の実践の中では「研究発表」が不足していた。

・子どもたちの思考の変化の様子が印象に残っています。思いを作品や表現方法に表し、さらにそれを言葉で説明されたときに、子供たちの思考のおもしろさや可能性を感じました。自分の指導の在り方を改めて考えていきたいと思います。

・緊張感の表現のワークショップにおいて、一人一人がそれぞれに違った経験やイメージで異なる作品を制作したのに、どれも誰が見ても緊張感を感じるような表現になっていてとても驚いた。

実施スケジュール

時間 内容 研修形態(方法)
13:00〜13:05 研修前の操作確認・オリエンテーション 講義(zoom)
13:05〜14:00 講義①デジタル社会と美術教育 講義(zoom)
14:00〜14:30 講義②造形実験の具体的事例紹介 講義(zoom)
14:30~14:40 休憩
14:40~:15:00 ワークショップ 「造形実験をしてみる」
(身の回りにある小物を使って緊張感を表してみる)
演習(zoom)
15:00~15:40 制作物の鑑賞 – 学びの確認 講評(zoom)
15:40~16:00 まとめ 講義(zoom)
16:00〜16:10 休憩
16:10〜16:30 全体講評