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令和3年度 全国オンライン研修会レポート [テーマ別実践研修]
小学校音楽:実施担当 エリザベト音楽大学

研修概要

日程:令和3年12月9日(木)
講師:寺内 大輔(広島大学准教授)、柴田 美穂(エリザベト音楽大学教授)、林 裕美子(エリザベト音楽大学教授)
壬生 千恵子(エリザベト音楽大学教授)、福原 之織(エリザベト音楽大学教授)
受講者数:46名(定員 各40名)

テーマ

・自然で無理のない歌い方の指導
・諸外国の音楽の楽しみ方
・パイプオルガンの世界をのぞいてみよう

 

研修会の内容

本研修は、「声・歌い方」を大きな枠組みとして、①自然で無理のない歌い方の指導1)および2)、
②諸外国の音楽の楽しみ、③パイプオルガンの世界をのぞいてみよう、の3部構成でおこなわれました。

《学習指導要領との関連》

小学校音楽科1「A表現」(1)ア、イ、ウ、
2「B鑑賞 」(1)ア、イ、 3「B鑑賞」(1)ア、イ

 

1.自然で無理のない歌い方の指導(実演デモストレーションを含む講座形式)
講師:寺内 大輔、 林 裕美子、 志民 一成教科調査官

① 自然で無理のない歌い方の指導1)では、最初に座学として、子供の声の発達に関する理解と学習指導要領における歌唱指導について、理論的講座が実施されました。具体的な発声のしくみと、学習指導要領における指導・評価の要点について、PPによる図解や器材を使用した、わかりやすい説明がなされ(志民講師)、さらに、子供の声の能力を引き出す教材として、2つの実演動画が紹介されました。
「雲のわた菓子」「ストロー」(作詞:志民一成、作曲:寺内大輔、歌:林裕美子、ピアノ:柴田美穂)

 

② 自然で無理のない歌い方の指導2)は、二つの部分からなり、前半は子供の声の能力を引き出す活動例として、<言葉を大切にする>という観点から、テクスト朗読、実践動画(全5曲の実演収録)の視聴、実践への留意点と助言という構成でおこなわれました(林講師)。
「ママ、ごめんなさい」「小さなガマガエルたち」他(作詞・作曲:ダルクローズ、訳詞・歌:林裕美子、ピアノ:柴田美穂)

後半は、「声で遊ぼう−表現をより豊かに−」というテーマのもと、「呼びかけとこたえ」「自分の声の持ち味を活かす+新たな声の探求」「ビートに乗って唱える活動」「諸外国の声の表現(倍音唱法の発声)」の3つの実践講座が実施されました(寺内講師)。全国の受講者が一緒に声を出し体験する、参加型の講座であり、寺内講師のリードのもと、受講者それぞれが実践をお互いに確認しながら進められ、進行中にも「楽しい」「すぐ授業へ活用したい」といった感想が多く寄せられたプログラムとなりました。

 

2.諸外国の音楽の楽しみ方   講師:壬生 千恵子

ここでは、諸外国の「声」を主体とした音楽の紹介を通して、<言葉から音楽へ>、あるいは<声の出し方と音楽の生成のあり方>について、多様な角度から触れ、楽しみながら知見を広げてもらうことを目的としました。
前講座で体験した<自分達の声を知る>に対して、<他文化の声を知る>時間であり、授業に取り入れやすいよう、公開されている動画を中心に、普段の教材では聴く機会の少ない7つの国と地域の音楽を紹介しました。

 

3.パイプオルガンの世界をのぞいてみよう   講師:福原 之織

パイプオルガンのしくみや演奏方法を紹介する、動画主体の講座を実施しました。小学校ではパイプオルガンに触れる機会が少なく、昨年、同様のプログラムが好評であったことから、中学校鑑賞教材との関連性を踏まえ、本研修の最後におかれました。
小学生達がエリザベト音楽大学のパイプオルガンの裏側を探訪し、楽器のしくみを学んだり、実演による楽曲鑑賞を体験したりする様子の収録を視聴し、元小学校教員である講師によるコメントが加えられました。

 

 

■受講者からの感想(アンケートより抜粋)

・無理のない歌い方や響きのある歌声に関して、声帯のメカニズムから知ることができたため、より理解が深まった。

・学習指導要領を読んだだけでは不安だった部分が明確に理解できた。

・声の能力を引き出す面白さ、世界の音楽の面白さ、音楽が生活とつながっていることなどを改めて感じることができた。パイプオルガンについては身近に見たこともなく、内部の様子などを見ることができて大変興味深かった。

・声の音楽について、寺内先生の体験的な講義・演習は、新たな即興音楽の可能性を示唆いただいたと考えます。音楽科教育において、なかなか言語化できないよさや楽しさといったところを改めて受講生として感じることができました。

・声の面白さは単に発声の面白さにとどまらない。多様な表現の豊かさは人間理解に直結すると感じた。世界を広く見つめることができるその多様な声の表現は、生きること、人生への果てなき問いが含まれている。例えば宗教音楽の紹介では、祈りの言葉に全身でリズムが刻まれる。波がうねるように次第に高まる言葉とリズムに圧倒的な音楽が生まれ、生への強烈な、根源的な人類の祈りがくりかえしこめられていることに改めて気付いた。また、美しい日常を歌う、志民先生作詞、寺内先生作曲の素敵な新しい歌は、古くから伝わる旋法の美しい響きが林先生の素晴らしい歌声から伝わってきて心が震えた。音楽で心動かされることの大切さを改めて肝に銘じた。

・とても分かりやすかったです。実際に先生が歌ってくださったり、映像をご紹介いただいたりして、とても分かりやすく理解を深めることができました。先生方も臨機応変に対応してくださり、大変だったと思いますが、とてもありがたかったです。

 

 

実施スケジュール

時間 内容 研修形態(方法)
13:00〜13:05 研修前の操作確認とオリエンテーション リアルタイム
13:05〜14:00 ① 自然で無理のない歌い方の指導1) リアルタイム
14:05〜15:00 自然で無理のない歌い方の指導2) リアルタイム
15:00〜15:10 休憩
15:10〜15:40 ② 諸外国の音楽の楽しみ方 リアルタイム
15:40〜16:00 ③ パイプオルガンの世界をのぞいてみよう 録画鑑賞
16:00〜16:10 休憩
16:10〜16:30 全体講評 リアルタイム