日程:令和5年12月11日(月)
講師:大関智子(秋田公立美術大学)
受講者数:1名(定員 15名)
日本画の材料と表現方法
1.オリエンテーション/講義「日本画ってどんなもの?-材料と表現から-
はじめに講師紹介を行なった後、研修テーマ設定のねらいや趣旨、研修のタイムスケジュールについて説明した。講義では日本画制作の導入として、「日本画」という分野が成立した経緯を振り返るとともに、昨今日本画を取り巻く定義に関する議論、材料の諸相について解説した。
2.演習①:支持体づくり(水張り)
これまで描画に用いられてきた支持体の変遷を辿るとともに、日本画で主に用いられる支持体(石・布・紙・木)について、作品や実物等の参考資料を示しながらその特性について解説をした。本演習では、木製パネルに和紙を張り込む「水張り」を実際に行い、小作品制作で使用する支持体を完成させ、その方法と素材の扱いについて理解を深めた。
3.演習②:様々な描画材料を用いた素材実験
顔料にメディウムを加え、よく練ったものを水分で調整しながら筆で描画するという日本画の特徴的な描法について、アクリル絵具や水彩絵具などの各種絵具が支持体に定着する仕組みに着目しながら解説した。これを踏まえ、参加者は日本画制作で用いられる、粉絵具や岩絵具等の顔料、メディウムである膠、箔などの金属材料を用いて多様な描画技法を実際に試行し、基本的な扱い方を習得した。
4.演習③:小作品制作
本演習では制作プロセスに焦点を当てた解説を行い、参加者が和紙を張り込んだサムホールサイズの木製パネルを用い、持参したスケッチをもとに小作品の制作を行なった。
5.鑑賞/ディスカッション
小作品制作を通して参加者からは、「普段使用している描画材料と違い、手で絵の具を練る描画方法が新鮮だった」「それぞれの材料が魅力的で興味深い」などの感想があった。また、学校現場において日本画分野は様々な問題点から技法を切り口とした題材化が難しい傾向にあるが、教育用岩絵具や顔料とメディウムの代用材料を用いることで日本画の技法理解を深めることが可能であることを伝え、実際に題材としていかに展開していけるのか意見交換を行い、研修を終了した。
時間 | 内容 | 研修形態(方法) |
9:30~10:30 | 開講式・理論研修 | 参集 |
11:00〜12:00 | ・オリエンテーション(趣旨説明、日程確認等) ・講義「日本画ってどんなもの?-材料と表現から-」 ・演習①:支持体づくり |
参集 |
13:00〜14:00 | 演習②:様々な描画材料を用いた素材実験 | 参集 |
14:00〜16:45 | 演習③:小作品制作 | 参集 |
16:45〜17:00 | 鑑賞/ディスカッション | 参集 |