日程:令和5年12月15日(金)
講師:飯田真人・北浦雄大(京都市立芸術大学)
受講者数:27名(定員 30名)
古今素材
― 乾漆など伝統的な技法と新しい素材を用いた立体作品の制作 ―
午前中は、「素材から感じ取る~感性と知識の関係について~」と題して、現在の美術教育の課題を基に、現行の学習指導要領の趣旨や〔共通事項〕の再確認等を通して、これから求められる資質・能力と本研修で実施する演習の内容との関連、美術教育における感覚と知識の関係について説明しました。
午後は、造形作家で漆工専攻の非常勤講師である北浦雄大が、自身の活動を例にとり、基本的な「漆」に関する講義を行い、仏像彫刻などさまざまな作品を取り上げ、素材や技法の理解を深めました。
次に演習として、教育現場では実践事例の少ない、水性樹脂を用いた乾漆技法による造形作品を制作しました。これは従来の漆を使った工芸作品の制作ではなく、我が国の伝統的な技法を現代の造形制作にどのように生かすことができるか、参加者それぞれが技法や素材を通して考察するものです(本漆はアレルギーや乾燥時間等の課題で教育現場でも使用が限られこともあり、使用しませんでした)。成形し、麻布に樹脂を浸透させ発泡素材に貼り込み、表面を仕上げた後、漆の加飾技法を基にエポキシ樹脂にベンガラを混ぜた塗料の上から金箔で装飾を施し、完成させました。
また、樹脂を乾燥させている合間に、漆工専攻の実習室で漆の制作現場を見学し、漆への理解を深めました。
本研修は、現代の素材を用いて伝統的な工芸の手法に取り組むことで、立体造形の可能性について学び、実践する機会となりました。
時間 | 内容 | 研修形態(方法) |
9:00〜9:30 | 受付 | |
9:30~10:45 | 開講式・理論研修(文化庁による進行) | 動画視聴・参集 |
10:45~11:00 | 休憩 | |
11:00~12:00 | 講義「素材から感じ取る〜感性と知識の関係について〜」 | 参集 |
12:00~13:00 | 昼食 | |
13:00~13:40 | 講義「漆と造形」演習「乾漆技法と新素材の解説」 | 参集 |
13:20~14:00 | 演習「発泡材を使った原型制作」 | 参集 |
14:00~14:45 | 演習「乾漆の技法を使った水性樹脂加工」 | 参集 |
14:45~15:15 | 漆工制作室見学 | 参集 |
15:15~16:00 | 演習「研磨」「箔張り」 | 参集 |
16:00~16:30 | 演習「鑑賞」 | 参集 |
16:40~17:00 | 全体講評(文化庁教科調査官) | 参集 |