日程:令和5年2月13日(月)
講師:阿部大介(女子美術大学)、鈴木淳子(女子美術大学)
受講者数:7名(定員20名)
版画表現の広がりとその魅力:
「版」の展開
● オリエンテーション 「研修テーマと趣旨について」
はじめに、研修テーマ「版画表現の広がりとその魅力―『版』の展開」設定のねらいと趣旨について説明した。「版」と「刷り」の多様性がもたらす版画の創造的な表現について、図画工作科教科書の版画題材の内容、技法、作品例を紹介し、「版」と「刷り」を試す中で新たな表現が生まれること、子どもの思いがけない発見、気付きを大切にすること、自分のイメージを表現する楽しさを味わわせることなどを挙げた。さらに、小学校での経験を中学校、高等学校の美術につなげ、版画の創造的な表現を追求することの重要性について説明した。
● 講義 「版画の魅力—自作とコラグラフについて」
阿部大介講師の作品紹介後、コラグラフ技法の特徴について講義を行った。版材(厚紙:ゴールデンボード、シナベニヤ等)、描画材(アクリル絵の具、ジェルメディウム、ナチュラルサンド、ボールペン、ニードル、カッター等)、貼り付けに適した素材(葉っぱ、砂、紙、糸、アルミホイル、テープ等)について説明し、実際の版画作品を鑑賞しながら、素材による表現の違いや刷りの効果を確認した。また、学生の作品例を基に、技法、刷りの工夫による表現の多様性について説明した。
● 実技研修 ①コラグラフの製版
版材ゴールデンボードを使って、ジェルメディウム、ナチュラルサンドの載せ方を演示し、様々な描画材による線や面の特徴を組み合わせて製版することを説明。安価な版材ゴールデンボードでも銅板のような効果が表現できることを紹介した。説明後、研修参加者は、持参した下絵をもとに製版作業を行った。
● 「紙メゾチント」の技法紹介
製版作業の区切りがついたところで、「紙メゾチント」の技法として、紙やすりを使った製版の方法を紹介し、授業への活用法を説明した。
● 実技研修 ②刷り
印刷の手順として、ヘラでインクを詰め、寒冷紗でふき取った後にロール紙で仕上げる過程を講師が演示した後、版が出来上がった参加者から順に、エッチングプレスで印刷した。 インクのふき取りの程度で作品の仕上がりが異なるため、予め、刷毛で水を塗布して湿した紙に2回印刷をして、それぞれインクのふき取りによる刷りの仕上がりの違いを試した。
● 鑑賞、まとめ
参加者の作品テーマや表現の工夫、印刷の仕上がりについて情報交換をしながら、完成作品を鑑賞した。短時間の製版であったが、クオリティの高い作品が完成した。インクの乾燥に数日かかるため、作品をベニヤ板に水張りし、作品同士が重ならないように梱包した。 最後に、本日の研修で学んだコラグラフの製版は、安価な材料を用い、限られた授業時間内でもできる方法なので、これからの美術授業に版画題材として取り入れ、是非活用してほしいことを伝えて研修を終了した。
時間 | 内容 | 研修形態(方法) |
9:30〜11:45 | 開講式、全体研修、理論研修(教科別:文化庁による進行) | オンライン |
13:00〜13:20 | オリエンテーション「研修テーマと趣旨について」 | 参集 |
13:20~13:40 | 講義「版画の魅力—自作とコラグラフについて」 | 参集 |
13:40~15:00 | 実技研修 ①コラグラフの製版、「紙メゾチント」の技法紹介 |
参集 |
15:00~16:10 | 実技研修 ②刷りと作品鑑賞、まとめ | 参集 |
16:20~16:40 | 全体講評(教科別:文化庁による進行) | オンライン |