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令和4年度 全国研修会レポート [テーマ別実践研修]
中学校美術科・高等学校芸術科工芸 [中高美工2]:実施担当 東京藝術大学

研修概要

日程:令和4年12月15日(木)
講師:青木宏憧、渡邉五大、佐々木岳人、新井寛生(東京藝術大学)
受講者数:25名(定員20名)

テーマ

漆芸 蒔絵技法:
縄文時代から続く漆文化、日本の伝統技法「蒔絵」を通して漆を知る

 

研修会の内容

本研修は、東京藝術大学漆芸研究室准教授青木宏憧を中心とした漆芸研究室教員と、美術教育研究室准教授渡邉五大による日本の伝統技法「蒔絵」を通して漆を知る事を目的として実施された。
制作作品の内容は、漆塗りの手板にオリジナルのロゴマークを金の平蒔絵で描く。講義室内に作業環境を設け、研修生が実際に蒔絵を行うことで漆芸素材の特徴や性質の理解や、蒔絵技法の見識を深めた。また、スライド画像を見ながら道具・技法、国内外での漆文化などの講義も行われた。

 

図案トレース、図案チェック

初めに8x8cm程度で考えた紙面上の図案を黒漆塗りの手板にトレースする「置目」と呼ばれる工程を行う。講師が制作作業を行いながら研修者に解説していった。ここでは図案を描いた紙の裏面に白い顔料を塗り、手板上でペンでなぞって転写する方法で置目を取った。
事前に研修者が考えてきた図案が制作可能かどうか、各図案ごとに制作上適切な道具選択を講師が確認しながら各自制作が進められた。

● 蒔絵作業

置目作業後、漆で金粉を蒔く箇所に地塗りという工程、真綿(絹)で金粉を蒔く工程を、置目と同様に講師の作業を見ながら解説が行われた。
弁柄漆を筆で塗り、厚み調整を和紙で行った。漆の塗り厚が蒔絵成功の重要な要素となるため制作中、講師による厚みの確認が念入りに行われ、どの程度の厚さが適正が視覚と筆の感覚によって体感し習得していった。講師の確認が済み次第、各自金粉を蒔く工程に移った。

● 総評、「漆について」講義

総評では今回のテーマ別研修のまとめが行われた。漆についての講義では青木准教授による、漆文化の歴史や制作に使用される道具、アジア各国における漆の特徴や違いなど漆芸の基礎知識解説が行われた。また蒔絵道具や蒔絵技法、塗りの技法は実物が展示され、近くで鑑賞することができた。

 

● 質疑応答(事前のアンケートを元に回答)

下記三点についての質疑応答が行われた
・陶胎漆器の普及について
・漆の扱い、作業後の処理方法
・漆材料と道具の購入先

 

 

実施スケジュール

時間 内容 研修形態(方法)
9:30〜11:45 開講式、全体研修、理論研修(教科別:文化庁による進行) オンライン
13:00~13:10 挨拶・講師紹介 参集
13:10~13:30 図案トレース(置目)講師デモンストレーション 参集
13:30~13:50 図案チェック・置目作業 参集
13:50~14:10 蒔絵講師デモンストレーション 参集
14:10~15:30 蒔絵作業 参集
15:30~15:50 総評・「漆について」講義 参集
15:50~16:00 質疑応答 参集
16:20~16:40 全体講評(教科別:文化庁による進行) オンライン