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令和4年度 全国研修会レポート [テーマ別実践研修]
小学校音楽科 [小音2]:実施担当 エリザベト音楽大学

研修概要

日程:令和4年12月15日(木)
講師:寺内大輔(広島大学)、三宅悠太(エリザベト音楽大学)
受講者数:38名(定員 40名)

テーマ

声の表現を探求する活動

 

研修会の内容

本研修は『声の表現』を中心に3部構成となっており、それぞれテーマを持って実施された。開講時に、オンライン研修のための諸動作確認や留意事項、本日の講座の運営方法や内容についての説明がなされ、受講者との相互確認がおこなわれた。

 

第 1 部  

「声を使った音遊びや音楽づくり』(講師:寺内大輔氏 広島大学)では、学習指導要領の〔共通事項〕の「音楽を形づくっている要素」の「イ 音楽の仕組み」のひとつである「呼びかけとこたえ」に焦点を当てた簡単な遊び的活動や、拍(ビート)に乗って言葉をとなえる活動を取り上げ、いくつかのワークの実施をとおして児童に声の探究を促すためのアプローチを紹介した。

 

● 第 2 部  

「世界の様々な国や地域の音楽や現代音楽における声の表現」(講師:寺内大輔氏 広島大学)では、まず、世界の様々な国や地域の音楽に触れるための教材研究・教材開発を取り上げ、パワーポイントを用いたスライド教材の例や、インターネット上のコンテンツ “The Global Jukebox”、“Google Earth”、“YouTube”の活用例を示した。次に,世界の様々な地域の音楽を聴く学習から自らの声の表現を探究する学習へとつなげるためのアプローチのひとつとして、義太夫と倍音唱法の模倣をとおして声の表現性を拡げるワークを行った。続いて、現代音楽を参照した声の探究の可能性として、漫画の効果音等を図形楽譜にした作品“Stripsody”(Cathy Berberian作曲)等の動画を、またサンプラーやエフェクターの効果によって声の表現を変化させる可能性として、“DESHIMA”(寺内大輔・三宅珠穂作曲)の動画を、それぞれ紹介した。

最後に、“We are the world”(Michael Jackson ほか)等を取り上げながら、小学校現場における「自分の声の持ち味を生かす」ことの重要性を述べた。

 

● 第 3 部  

「歌唱・合唱指導のヒント』(講師:三宅悠太氏 エリザベト音楽大学)では、「合唱指導のヒント~音色の表現」をテーマに、作曲家が楽譜に記せない・記さない“音色”の表現を探究することを主とした講義を行った(講師:三宅悠太氏 エリザベト音楽大学)。題材として小学校歌唱共通教材「春がきた」・「春の小川」・「夕やけこやけ」・「ふじ山」の4曲を取り上げ、(他の楽曲にも通ずる原理的アプローチを軸に)それぞれの楽曲の音色表現の可能性や具体的手法などについて追究した。全体を通して「子どもたち自身が発見し実感することのできる活動」を根底に置き(≒主体的な学び)、講義と実践を行った。

 

「春がきた」では、明るい音色で歌うアプローチとして『ア母音でハイタッチ練習』を紹介し、子どもたちの心身を開きながら明るい音色へと導く活動をオンライン上で実践した。

続く「春の小川」では、歌詞のニュアンスを表現するアプローチとして、歌詞の「さらさら」を別の擬態語に置き換えて(身体動作も含めて)表現し、コントラストを体感した上で元の歌詞を意識的に表現する活動を紹介し、実践を行った。また、部分的な表現が全体に影響を及ぼす側面が重要であることにも触れた。

「夕やけこやけ」では、主に強弱記号「f」の音色について「歌詞」・「和音」・「リズム」の観点からアプローチし、音楽は様々な要素が影響を及ぼし合い統合されていることを実感した上で表現する活動を紹介・実践した。

最後の「ふじ山」では、「p」の音色について「歌詞」・「和音」・「楽曲構成」の観点からアプローチし、強弱記号に付加されるイメージ・ニュアンスが、音楽を表現する上で大切であることを示した。楽曲間には3つのコラムを設け、特に重点的に取り上げた『音色の座標軸』では、共鳴腔の開け方や息の混ぜ具合により声の音色が変化することを紹介し、私たちが日常の中で無意識的に行っている音色表現について、その原理を意識化し演奏に取り入れる方法を紹介・実践した。

最後に、受講者からの質問に答えるかたちをとりながら、両講師によるまとめをおこない、授業実践への応用・展開への道筋に触れるかたちで講座を終了した。

 

 

実施スケジュール

時間 内容 研修形態(方法)
9:30〜11:45 開講式、全体研修、理論研修(教科別:文化庁による進行) オンライン
13:00~13:05 研修前の操作確認・オリエンテーション オンライン
13:05〜13:55 声を使った音遊びや音楽づくり オンライン
13:55〜14:00 休憩 オンライン
14:00〜14:50 世界の様々な国や地域の音楽や現代音楽における声の表現 オンライン
14:50〜15:00 休憩 オンライン
15:00〜15:40 歌唱・合唱指導のヒント オンライン
15:40~16:00 質問とまとめ オンライン
16:20~16:40 全体講評(教科別:文化庁による進行) オンライン