日程:令和6年2月14日(水)
講師:福田笑子・鈴木淳子(女子美術大学)
受講者数:6名(定員 10名)
線の構成による立体表現
― 自己と他者、表現と鑑賞の往還からなる自己生成 ―
研修テーマと趣旨、学習指導要領との関連について
はじめに、研修テーマ「線の構成による立体表現-編組法を用いて-」設定のねらいと趣旨、学習指導要領との関連について説明した。「結ぶ」「巻く」「組む」「編む」の手法により多様な形態を造形し、立体構造・空間の概念を拡大するとともに、本研修の成果を題材開発や今後の授業改善に生かすことがねらいである。
小学校の図画工作から中学校、高等学校の美術で、「結ぶ」「巻く」「組む」「編む」の手法がどのように題材に生かされているのか、「技能」に着目して、造形遊び、彫刻、デザイン、工芸の題材例を確認するとともに、題材化に当たっての留意点を学習指導要領を基に明らかにした。
講義「バスケタリー 編組法を用いた立体アート」
バスケタリーの定義、素材や道具の使用法、日本各地の「民具」にみられるバスケタリー、歴史について画像や動画を基に説明を行い、改めて「バスケタリーとは何か」を問題提起した。
国内外の作家による現代作品や美術館でのプロジェクトの例をみると、バスケタリーは既存のかご作りの定義を超えて、現在も新たに定義が作り替えられているといえる。バスケタリーの編組法はどのような造形の可能性を内包しているのか、本日の実技「小枝プロジェクトStick Project―「棒+紐」の可能性」を通して、実際に線からの立体化を試みることにした。
実技1「小枝プロジェクトStick Projec」と鑑賞
約1時間、受講者は準備した材料(棒状の小枝やラフィアなど)を使って、「結ぶ」「巻く」「組む」「編む」の各手法を用いることにより立体構造化を試みた。その後、全員で作品鑑賞を行い、自評後の質疑応答によって様々な発想の面白さを共有した。
講義「線の構成による立体表現」
「小枝プロジェクトStick Projec」の学生作品を紹介し、学生の制作意図や工夫について説明をした。また、多様な表現を引き出すには「最も少なく教える」こと、材料や方法を限定しないことで自分で考え、手を動かすうちに発見していくことの楽しさを体験させるなど、題材化のポイントについて示した。
さらに、現代作家による棒状の線材による構造の作品例、ひと続きの長い線による構成など、バスケタリーの編組法を用いた表現の多様性と新たな可能性について認識を深めた。
実技2「結びー紙バンドを結んで立体にする」とディスカッション
バスケタリーの手法「結び(knotting)」を使った実技では、結ぶ本数や材料を変えたりして数種の試作を行い、全体で途中鑑賞を行った。参加者が作品の材料や結びの方法を変えることでどのような変化があったのか、それぞれ作品を発表して共有した。
その後、改めて各自で制作に取り組み、約1時間後に再び全体で鑑賞を行い、制作の意図や題材化にあたってのアイデアについてディスカッションをした。バスケタリーの編組法を生かした抽象彫刻の題材例では、参加者から具体的な評価方法についての課題等が挙げられた
講義「『結び』を用いた多様な作品例」
画像で「結び(knotting)」の学生作品を紹介するとともに、作品の見せ方、作品展示の工夫について学生の展示例をもとに説明をした。さらに、「結び(knotting)」を用いた現代作品や福田笑子講師の作品を紹介して本日のテーマ別研修を終了した。
時間 | 内容 | 研修形態(方法) |
9:20~9:30 | 受付 | |
9:30〜10:45 | 開講式、全体研修、理論研修 | 参集/動画視聴 |
11:00~12:00 | 「研修テーマと趣旨、学習指導要領との関連」 講義「バスケタリー 編組法を用いた立体アート」 |
参集 |
13:00~14:00 | 実技「小枝プロジェクト」 | 各自作業 |
14:00~14:20 | 鑑賞 | 参集 |
14:30~15:00 | 講義「線の構成による立体表現」 | 参集 |
15:00~16:00 | 実技「結びー紙バンドを結んで立体にする」 | 各自作業 |
16:00~16:30 | ディスカッション、発表、まとめ | 参集 |
16:30~17:00 | 講義「『結び』を用いた多様な作品例」 | 参集 |