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令和2年度 全国オンライン研修会レポート [テーマ別実践研修]
小学校音楽:実施担当 エリザベト音楽大学

研修概要

日程:第1回  令和2年12月3日(木)、第2回  令和3年2月22日(月)
講師:福原之織(エリザベト音楽大学)、川上統 (エリザベト音楽大学)、壬生千恵子(エリザベト音楽大学)
受講者数:第1回  58名、第2回  58名(定員 各40名)

テーマ

学習指導要領を踏まえた授業づくりを考える/デジタルデヴァイスによる音楽づくり(基礎〜応用)

 

研修会の内容

本研修は大きく4つの内容から構成され、各研修のテーマと内容は以下のとおりである。

 

1 学習指導要領を踏まえた授業づくりを考える
(講師:志民一成教科調査官、司会:壬生千恵子)

学習指導要領に関する質問やこれからの授業づくりについて、研修会HPより受講者にアンケートを呼びかけ、事前受付した受講者の疑問や意見を取り上げた。志民調査官より、これらに対する回答や意見をいただくことを出発点に、より深い理解と効果的な授業実践に結びつく考え方を検討した。

事前アンケートには、①指導要領に関すること、②学習評価に関すること、③その他、の3つの項目がおかれ、受講者からのアンケート結果では、②学習評価に関する質問や意見と③その他に関するものが多くみられた。研修当日は4つの質問と意見を取り上げ、各々の事項に対して、対話形式で解説が進められた。アンケートの中にあった歌唱指導については、志民調査官から非常に専門性の高い知識とスキルが、わかりやすいかたちで詳しく解説された。

 

2 デジタル・デヴァイスによる音楽づくり(基礎〜応用)
(講師:川上統)

創作用ICTツール(iPad/Garage Band)を使用した、音楽づくりの実践と解説をおこなった。実践内容としては、「多重録音による二つの創作アプローチ」をおこない、音楽創作過程の基礎知識とICTツール作業過程の基礎スキルの説明を、実際に受講者と一緒に創作を進めていくかたちをとって試行した。小学校音楽の教科書に掲載されている内容から発展させた教材をとりあげ、一つ目は身近な音や声を用いた自由の音素材による音楽づくり、もう一つは日本の音階を用いた音程を伴う音楽づくりの実践を受講者と進めた。多重録音を用いる事によって、小学校の音楽の授業のなかでの「音楽づくり」において、作った音楽に対してより実感を伴った創作の可能性を提示することを目標とした。ICTツールを初めて使用する方を対象としながらも、継続性をもったステップアップ講座の側面も意識し、ワークショップ形式の要素も取り入れながら、より効果的なツールの活用と授業実践のアイデアにつながる例示をおこなった。使用楽器は身近なものを選び、大きく分けて二種類扱った。一つはカスタネット、トライアングル等の打楽器に加えペンケースのファスナーを開閉する音。もう一つはソプラノリコーダーと鍵盤ハーモニカの旋律楽器を使用した。

 

3 パイプオルガンの世界をのぞいてみよう
(講師・出演:福原之織他)

中学校音楽科鑑賞領域の「フーガト短調BWV578」を扱う前段階として、楽器そのものへの興味を引き出す体験の意味を受講者に考察してもらうことをねらいとして、小学生のパイプオルガン体験の様子を事前収録した動画の視聴と解説をおこなった。収録はエリザベト音楽大学セシリアホール、ナビゲートおよび演奏は同大学福原之織教授、体験者には同大学附属音楽園合唱団プエリ・カンタンテスの小学生3名が参加した。
本録画では、音を聴く、鳴らすという基本的な音楽体験にとどまらず、楽器の内部へ入り、発音原理、楽器内部のからくりなどを知る「理科的な視点」や、教会やホールにある理由を社会の中の音としてとらえる「社会科的視点」を含めた説明が加えられた。そして、「ウエストミンスターの鐘」の模擬演奏がおこなわれた。

パイプオルガンの魅力を味わうポイントとして、小学生の体験で重点がおかれたのは、次の三点である。①多様な音色の選択、響きの変化など(音楽的な見方・考え方)から表現の工夫への理解を深められる。②音楽、響きの中に身を置き、じっくり味わう聴き方を体感できる。③一台ずつ固有の価値があり、またすべてのパイプに役割があるという楽器の特徴が、こどもたち一人ひとりの存在価値について考える機会となる。
通常の学校教育の中では得ることが難しい、本物のパイプオルガンに触れ、間近に音色を味わう機会ならではの解説と体験を、動画収録によって再現した。

 

4 小学校へのアウトリーチ現況の報告
(講師:壬生千恵子)

「新しい生活様式」のもとでの「小学校へのアウトリーチのこれから」について、3つの事例(横須賀芸術劇場および関西二期会巡回公演、呉文化振興財団)を紹介し、現状報告をおこなった。実践の状況については、写真および公演録画を使用し、実施団体からの「実施にかかる感染対策と考え方」、「小学校の先生方へ今、伝えたいこと」、実施校の「担当者からの意見・感想」「子どもたちの声」のまとめをおこない、今後の方向性と可能性を示した。

 

 

実施スケジュール

時間 内容 研修形態(方法)
13:00〜13:10 参加者入室、設定確認
13:10〜13:50 1学習指導要領を踏まえた授業づくりを考える リアルタイム
14:00〜14:50 2デジタル・デヴァイスによる音楽づくり(基礎~応用) リアルタイム
15:00〜15:40 3パイプオルガンの世界を覗いてみよう 動画視聴
15:40〜16:00 4小学校へのアウトリーチ現況の報告 リアルタイム