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令和元年度 地区ブロック研修会レポート(北海道・東北地区)中高・音楽(実施担当:東京藝術大学)


研修概要

日程:令和元年10月29日(火)
会場:宮城県総合教育センター
講師:3名(アシスタント:なし)
受講者数:17名(定員40名)

研修会の内容

中学校音楽科・高等学校芸術科(音楽)教員等を対象とした北海道・東北地区ブロック研修会は、講師に作曲家の加藤昌則氏、ヴァイオリニストの成田仁美氏、本学音楽学部 佐野靖教授を迎え、3県1市の教諭・指導主事 合計17名が参加し実施された。

本研修は、作曲家の指導のもと、創作の指導法や授業づくりを学ぶ研修①と、作曲家に演奏家を加え、彼らの分析や解釈から曲のもつ魅力や本質を深く学ぶとともに、どのようにその曲のよさや楽しさを感じ取っていくのか、その学びのプロセスについて、音楽家の視点、授業実践者の視点、音楽教育学の視点をクロスさせながら考える研修②③から構成された。

研修① 創作は楽しい!

創作を扱った研修①では、モーツァルトの《音楽のさいころ遊び》の体験にはじまり、旋律づくりの方法として、無作為に選んだ6音からつくる方法や、3音を選びモティーフをつくって創作する方法、言葉のイントネーションを元につくる方法などが加藤氏より紹介された。受講者である教員の多くが創作に対し苦手意識をもっていたようだが、受講者からは、本研修の中で提案されたいずれのアイディアも日頃の授業づくりのヒントになるものだった、生徒のアイディアや発想を大事にしていくことの重要性に気付かされた、という声がきかれた。

研修② 曲の魅力と本質を探る!

鑑賞を扱った研修②では、まず、複数の音源を視聴しながら、歌曲を題材に作曲家による音の組み立ての違いや、演奏者の視点から見るピアニズムの違いなど、楽曲の魅力や面白さを紐解くポイントが加藤氏より解説された。その後、ヴァイオリンとピアノの生演奏により、アンサンブルで「合わせる」ために演奏家が行なっている呼吸についてや、ヴァイオリンのヴィブラート奏法や弓の扱いについてなど、演奏者の視点に立つことで見えてくる楽曲の奥深さなどが鑑賞のポイントとして提示された。受講者からは楽器の特性や技法を理解し聴く際に伝えるだけで聴き方が変わるのが面白い等の感想が述べられた。演奏を生で、さらに目の前で鑑賞するという経験は、受講者にとってより深く音楽と向き合うために重要な意味をもちえたに違いない。

研修③ 授業づくりに生きるアイディアを検討する

研修の締めくくりとして、佐野氏と加藤氏を交えた討議が行われた。受講者からは、記譜できない生徒に対するフォローの仕方や評価の方法に関すること、単なるパズルのような創作を超えて音と向き合い試行錯誤するための手立てに関することなど、幅広い問いが提示され、協議された。受講者一人一人からのコメントの中には、「学習者として学ぶ意欲をかきたてられた」、「一日音楽に浸ることのできた研修であった」、「『どう教えるか』という視点でとらえがちだが、今日は『音楽そのもの』について考えることができた」などの意見が多くきかれた。教師自身も学び手となり、自身の音楽に関する知識や技術を高めたり、音楽に心動かされる経験を重ねていくことの意義を再確認した研修会であった。

実施スケジュール

時間 内容 研修形態(方法)
10:00〜10:30 受付
10:30〜12:30 研修① 創作は楽しい! 講義・演習
12:30〜13:30 昼食・休憩
13:30〜15:30 研修② 曲の魅力と本質を探る! 講義
15:30〜16:25 研修③ 授業づくりに生きるアイディアを検討する 討議
16:25〜16:30 アンケート記入