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令和元年度 地区ブロック研修会レポート(中国地区)中学校美術・高校芸術科美術(実施担当:広島市立大学)

研修概要

日程:令和元年11月2日(土)
会場:広島市立大学 芸術学部
講師:森永昌司、永見文人、前田力、青木伸介、伊東敏光(アシスタントの人数:2名)
受講者数:6名(定員50名)

研修会の内容

9時30分より受付を開始した。6名のエントリーがあったが1名欠席する。

10時より6名の受講生とモデル3名、デモンストレーションのスタッフ2名と教職担当教員4名が301演習室に集合した。開講式の冒頭で、本研修はデッサンができるための技術的な向上が目的ではなく、自発的に描きたいと思う環境を模索することが大きな目的であると述べた。人が人を描くことは、人が人として生きること、さらに人との関わりがあるからこそ表現につながるのではないかとの解説と、我々スタッフも一緒に描くことを約束して10時30分より実技研修が開始された。

2名の受講生に対して1人のモデルが関わるというスタイルにより、3グループで研修を始めた。開始からしばらくは自己紹介を中心とした対話が活発に行われる。11時15分になり対話を中断し、新学習指導要領の生きる力を美術教育に置き換える時の教育的理解についての講話を行った。「豊かな人間性とはすなわち、人間が本然的に持っている感性と悟性と理性の陶冶であり、感覚する力(感性)を導入として悟性(認識する力)を磨くことである。それを表現したいという意欲は理性(客観的な認識)に宿る。その上で表現を重ねるうちに確かな学力として、教科の目標とする力が身についていくという経緯が、美術教育の目標とする生きる力の解釈ではないか」と問題提起を行った。学習者の感覚を大切にしてもらえる教諭が美術教育を支えてほしいとも付け加えた。実技の再開とともに、次第にデッサンが行われるようになった。11時50分に午前中の研修を終える。

13時より午後の研修を開始する。始めにデッサンの技術的な指導を行った。デッサンに限らず、絵を描くときの流れについて以下のように述べられた。①構図を考える、②プロポーションを読み取る、③動き(ムーブマン)を捉える、④明暗(トーン・バルール)を意識する、⑤細部(ディテール)を描く20分ほどの講義のあと実技研修に入ると各グループとも対話は少なくなり、集中して描く時間が徐々に増えていった。

デッサンの方法は、①モデルの意思でポーズが決まり受講生がデッサンをするグループ、②モデルと受講生で相談しながらポーズを決めるグループ、③ポーズは決めず会話をしながらさりげない姿を描くグループとに分かれた。休憩も各グループで決めながら14時50分まで実技研修が行われた。

休憩ののち15時20分より意見交換会を行った。ほぼすべての受講生より「うまく描かなければいけないという意識が自然に消えていった」「多少形が狂っていても、そんなことはどうでもよくなっていった」など、上手に描くという意識より大切なことを知ったという意見が上がった。また、過去に授業で友達の顔を描くカリキュラムを実施した受講生は、「好きな相手を描かせたため、人を知るという意味ではあまり効果が得られなかった」と述べた。生徒になった気分で終始取り組んだ別の受講生は「相手の好きな部分を見つけることができた」と述べた。

モデルの方々からも「いつもは指示に従ってポーズをとるだけで、描く、描かれるという関係性しかないが、今回は人として関係性を持つ中で信頼関係が深まった」という意見があった。また「今日は私も描いてみたいと思った」と実際に受講生をデッサンする光景も見受けられ、「自発的かつ意欲的に私の方が取り組んだかもしれない」と述べていた。和気藹々とした雰囲気の研修会は16時30分に終了した。

 

 

 

実施スケジュール

時間 内容 研修形態(方法)
9:30 〜10:00 受付
10:00〜10:30 開会式・研修の趣旨説明
10;30〜12:00 実技デッサン① 受講者同士によるデッサン グループ形式
12;00〜13:00 昼食・休憩
13;00〜14:50 実技デッサン② 着衣モデルとの対話によるデッサン グループ形式
14;50〜15:20 休憩
15;20〜16:00 講話及び意見交換会
16;00〜16:30 閉会式 アンケートの回収