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令和元年度 地区ブロック研修会レポート(関東地区)高等学校芸術科・工芸(実施担当:東京藝術大学)

研修概要

日程:令和元年12月21日(土)
会場:東京藝術大学美術館 会議室2・資料調査室、木工室
講師:東京藝術大学大学美術館 薩摩雅登、黒川寛子
美術学部美術教育研究室 渡邊五大
木工室 北川八十治、西山大基、新井田宇謙
受講者数:16名、オブザーバー5名 計21名(定員20名)

研修会の内容

東京藝術大学にて「工芸作品」と「作品をつくる道具」についての鑑賞教育をテーマに、大学美術館教員と美術学部教員、そして木工室が中心となり実施された。

研修には全国各地より教諭、指導主事等、合計21名(正規の申し込み16名。オブザーバーとして5名)が参加した。講師として東京藝術大学大学美術館教員、美術学部美術教育教員、木工室の専門教員の3名が指導に当たった。

研修では、鑑賞教育について次に挙げる3点を具体的な目標として設定した。一つは、優れた工芸作品を鑑賞することによって、日本の伝統文化への理解を深めること。二つ目は、身近な生活や社会的な視点に立ち、よさや美しさなどを感じ取るとともに、制作過程における工夫や素材の生かし方、技法などについて考え、見方や感じ方を深めること。そして、工芸制作における様々な道具についての適切な使用方法や、道具ができるまでの「仕立て方」等を体験することにより技術や技法の理解を深めること。であった。

内容としては、まず大学美術館教員による収蔵工芸作品(作品・道具を含めた10点ほど)についてのスライドレクチャーを行い、制作過程による工夫や素材の生かし方、作者の歴史等への理解を深めることを目指した。

その後、美術館資料調査室に移動し、それらの作品や作者の歴史背景と素材等の解説をとともに、実作品の鑑賞を行った。収蔵品の中の作品を生み出した道具も合わせて鑑賞できたこともあり、「より一層興味が湧いて、実物への見方、感じ方が大きく変わった」という声が多く寄せられた。

美術館鑑賞の後、木工室に移動し、専門教員による木工道具の解説や「刃物の研ぎ」、「道具の仕立て方」について説明を受けた。また会場には日常ではあまり目にすることのない道具も数多く並び、道具の名称や、どのような時に使用されるものか等の説明がなされ、受講者は興味深く聴き入っていた。

木工室の工作机上には、受講者の道具を仕立てるための水の入ったプラスチックケースやいくつかの砥石、そして学校現場でもよく使用される道具である【カンナ、鑿、彫刻刀】が準備された。「研ぎ」と「道具の仕立て方」は、講師の実演とともに体験し、刃物の研ぎによって木材の切れ味などの違いも体感し確認した。

討議では本研修指導者を通して、一人一人が学校での活用法や、一日の感想を講師陣と質疑応答しながら行った。受講者からは、「作品や作者の歴史的背景と素材等について学びながら、それらを生み出した道具とともに、優れた工芸作品を鑑賞したことによって、伝統文化や工芸作品への見方、感じ方が深まったことや、道具の大切さを再確認した。」、「つい新しい道具を買ってしまいがちだが、この方法で教室に眠っていた道具を蘇らせたい。実際に生徒たちにも体験させてあげたい」、「自らの手で体感し、素材に触れ、肌触りや匂いを感じとったことは、工芸を学ぶ上で特に大切なことだと感じた」などの声が多くあった。

「パワーポイントによる工芸作品解説」

「大学美術館の収蔵作品の鑑賞」

「工芸作品を制作する際に使用する技法と道具の解説と体験」

実施スケジュール

時間 内容
10:00~ 受付
10:30〜12:30 ①    「パワーポイントによる工芸作品解説」
②    「大学美術館の収蔵作品の鑑賞」
12:30~13:30 昼食休憩
13:30〜15:50 ③ 「工芸作品を制作する際に使用する技法と道具の解説と体験」
※汚れてもいい服装・作業着
15:50〜16:30 ④    討議 ~高校学校授業での鑑賞教育の可能性について考える~
⑤    アンケート記入