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令和元年度 地区ブロック研修会レポート(九州・沖縄地区)中学校美術・高校芸術科美術(実施担当:佐賀大学 芸術地域デザイン学部)

研修概要

日程:令和元年12月6日(金)
会場:国立大学法人佐賀大学 芸術地域デザイン学部 1号館A101、美術教室、総合研究1号館 演習室
講師:9名(アシスタントの人数:1名)
受講者数:11名(定員40名)

研修会の内容

佐賀大学では中学校美術科と高等学校芸術科美術担当の教員を対象とした地区ブロック研修会を実施した。テーマは「鑑賞、素描、映像メディア表現における授業展開を考える」であり、当日の研修には九州各地(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県)より教諭11名の参加があった。講師は佐賀大学8名、佐賀県学校教育課1名が指導にあたった。

午前中は全体講義として、まず「新学習指導要領の教育観」と題して新学習指導要領に基づいた芸術系教科(美術・工芸)の教育実践のあり方について伝達講習を行なった。次のコマでは「キュレーターに聞く 鑑賞のツボ」と題し、キュレーター経験がある本学の教員が「対話型鑑賞」の考え方やその実施方法について具体的にレクチャーを行った。

午後は受講者の選択で2つのコースに分かれ、最初に講義、その後実習を行うという形式で研修を行った。コース1は「素描の見方描き方考え方」の講義を受けた後に「素描の石膏版画への応用」という実習を行った。コース2は「映像メディア表現の最新技術」の講義を受けた後に「映像メディア表現の授業への活用」として、実習をとおしてその最新技術を体験した。

各内容として【全体講義1】「新学習指導要領の教育観」では、平成29年に告示となった新しい中学校学習指導要領および平成30年告示の高等学校学習指導要領について、どのような点に重きを置きながら改訂がなされたのか、具体的な改訂のポイント、新カリキュラムにおいて強調されている「資質・能力」の内容、授業実践の場面で、教科目標に掲げられている3つの観点をどのように位置付けながら指導・支援にあたることが求められているのか、美術学習の中で「習得と活用」をどのように具体化していけばよいのか等について講義を行った。

【全体講義2】「キュレーターに聞く 鑑賞のツボ」では鑑賞教育の中においては生徒が鑑賞者で、教師が説明者であることが一般的であるが、キュレーターの立場からの鑑賞の考え方を学び、実践することで教師のスタンスや生徒のスタンスに変化を起こし、新しい鑑賞授業の可能性を生むのではないかと考えて本演習を企画した。キュレーターの鑑賞についての考えと、テクニックをアクティブラーニング形式で実施した。

午後に実施した【コース1】「素描の見方描き方考え方」「素描の石膏版画への応用」では、対象のかたちの良さを感じ取り、より良い形として線で表現していくことを目指した素描(スケッチを含む)の講義の後、演習として、線による描画と、それを石こう版画へ置き換える実習を行い、存在感のある支持体を用いた版画制作を行った。

【コース2】「映像メディア表現の最新技術」「映像メディア表現の授業への活用」では、3DCG、VR、AR、モーションキャプチャ、天球映像等、最新技術を用いた映像制作の実例や機器の紹介を行い、後半は実際に最新機器に触れてその効果を体験することで授業への活用の可能性を討議した。

受講者の感想では、「講義・実技のバランスが良く、生徒をとりまく環境の変化と学習指導要領の必要性の関係が分かりやすかった、今後も鑑賞と表現(実技)の双方を一日で学べる研修を希望する」という声が多くあった。

各領域においてポイントを絞ったテーマ設定を行うことで、短時間で効果的な研修が行う事ができ、九州は移動に時間がかかることと、出張で出る難しさもあるようなので、週末一日で完結する研修が望まれていることが分かった。

石膏版画

対話型鑑賞

情報メディア

実施スケジュール

時間 内容 研修形態(方法)
 9:30〜10:00 受付
10:00~10:10 開会行事 学部長挨拶
10:10〜11:00 【全体講義】「新学習指導要領の教育観」 講義
11:10~12:00 【全体講義2】「キュレーターに聞く 鑑賞のツボ」 講義
12:00~13:00 昼休み
13:00~13:30 【コース1】「素描の見方描き方考え方」
【コース2】「映像メディア表現の最新技術」
講義
13:40~15:40 【コース1】「素描の石膏版画への応用」
【コース2】「映像メディア表現の授業への活用」
実習
15:40~16:00 まとめ・アンケート記入