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令和元年度 地区ブロック研修会レポート(中国・四国地区)中学校音楽・高校芸術科音楽(実施担当:徳島文理大学)

研修概要

日程:令和2年1月25日(土)
会場:徳島文理大学 むらさきホール及び音楽学部講義室
講師:藤原道山(尺八演奏家)、松岡貴史(作曲家、徳島文理大学教授)(他アシスタント  1名)
受講者数:66名(定員50名)

研修会の内容

中学校音楽科・高等学校芸術科(音楽)教員等を対象として行われた中国・四国地区ブロック研修会が、徳島文理大学にて行われた。研修には、徳島県内を中心に、4県の教諭等 合計66名が参加し実施された。

本研修は、作曲家の松岡貴史氏(徳島文理大学教授)による「音楽づくり・創作」の研修と、尺八演奏家の藤原道山氏による「我が国の伝統音楽」に関する研修、研修の振り返りとして授業に生かす視点と方法を考える討議の時間で構成された。

【実技研修】

  • 「音楽づくり・創作」の研修:音遊びから創作へ 〜指導と授業づくりのポイント〜

松岡氏による創作の研修では、リズムによる創作やメロディー創作の事例とアイディア等が紹介された。特に、リズムによる創作では、応答性に着目した、2つの言葉による2声のリズムコンポジションの事例、また、メロディー創作では、音階に着目し、わらべうたの音階や五音音階を使用したアイディアが提示された。創作のアイディアの提示に際し、松岡氏からは、強拍の位置を感じることの大切さや、音を立体的に表現する方法など、創作したものを表現する上で必要となるものについても言及があった。本プログラムは、受講者にとって、音楽的であるとは何かを見つめ直す契機となったのではないだろうか。

  • 「我が国の伝統音楽」の研修:鑑賞指導と楽器体験 〜授業づくりに生きるアイディアを検討する〜

本プログラムでは、最初に、藤原道山氏による尺八演奏と楽器解説が行われた。古典曲からポピュラー曲まで多岐にわたる曲目が演奏され、生田流箏曲との合奏による《春の海》も演奏された。楽器解説の中で、藤原氏より、尺八におけるわざの基本として「息」「指」「首」が重要であり、それぞれが音色の変化とかかわりがあることや、口唱歌や尺八譜についてなどが解説された。そのほか、西洋音楽と日本音楽における「耳の感覚の違い」など、プロの演奏家ならではの視点による解説がなされた。
鑑賞の後、和楽器体験として、受講者全員が尺八(塩ビ管を加工した教材用簡易尺八)の体験をした。尺八は、第一に、音を鳴らすことが難しいと言われる邦楽器である。受講者は、尺八に初めて触れる方から経験者まで様々であったが、藤原氏から直接指導を受ける中で、音を鳴らすことのできた受講者も少なくなかった。藤原氏は、「ほーっとあたたかい息をまっすぐ」など、イメージをつかみやすい具体的な言葉で指導しており、受講者からは生徒への指導の参考にしたいという声もきかれた。

*本プログラムは、徳島文理大学の公開講座とタイアップする形で行われ、公開講座の受講生 84名も参加した。(なお、公開講座の受講生は楽器体験はなしである。)

  • 授業改善の工夫:授業に生かす視点と方法を考える

研修の最後には、佐野靖氏(東京藝術大学音楽学部教授)の司会のもと、授業改善の工夫を考えるための討議と質疑応答が行われた。討議の中で取り上げられたテーマとしては、高等学校の創作授業において記譜することが困難な学生の指導の方法や生徒の作品に対する評価の仕方、子どもたちと古典曲との出会わせ方についてなど、日々の授業の中での課題から発想されたものが多かった。受講者の一人が語った「今回の研修を担当された講師陣の姿勢から自分の指導を見つめ直した。自分の授業は、子どもたちにとって表現する楽しさを与えられているだろうか。」というコメントが代表するように、本研修は、受講生それぞれが自身の日頃の授業を振り返り、その改善点の視点を探るものになったと思われる。

実施スケジュール

時 間 内 容 研修形態(方法)
9:30〜10:00 受付
10:00〜12:00 「音楽づくり・創作」の研修
音遊びから創作へ 〜指導と授業づくりのポイント〜
講義・演習
12:00〜13:00 昼食・休憩
13:00〜15:30 「我が国の伝統音楽」の研修
鑑賞指導と楽器体験
〜授業づくりに生きるアイディアを検討する〜
講義・鑑賞・体験
15:30〜15:45 小休憩
15:45〜16:25  授業改善の工夫
授業に生かす視点と方法を考える
討議
16:25〜16:30 アンケート記入